校長のつれづれ日記 Episode 46 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

校長のつれづれ日記

Last Episode(46) ありがとう天高 そして さようなら

 3月も残り少なくなり、藍色へと変わった海を見ると春の訪れを感じさせてくれます。
 今年も天高の生徒たちは、素晴らしい活躍を見せてくれました。定通体連で全員全道へ、生徒生活体験発表大会で2年連続の全道大会へ、水産クラブ研究発表大会で2年連続の優良賞を獲得、天高祭での餅まきの実施や天売太鼓のバージョンアップ、生徒の活躍が新聞・テレビで報道されるなど数え上げたらきりがありません。詳細は、以前にも書いたので省略させてもらいますが、嬉しいことがたくさんありました。そして、年度を締めくくる3月にまた嬉しいことがありました。それは、3月6日(金)に羽幌町立中央公民館で「羽幌町青少年文化賞スポーツ賞」「羽幌町文化協会賞」「羽幌町体育協会スポーツ賞」の表彰式が行われ、その「青少年文化奨励賞」に水産クラブが選ばれました。水産クラブが、北海道高等学校水産クラブ研究発表大会において、2年連続6回目の優良賞を受賞したこと。また、漁業の活性・興隆を目的に地域住民や関係団体との連携を図りながら、調査研究に努め、郷土を愛する気持ちを涵養し、水産業の振興に貢献し多大な成果をあげていることを高く評価されての受賞となりました。式の中、本校代表として出席した坂本くんは受賞者を代表し謝辞を行いました。その堂々とした姿は非常に立派なものでした。今年度の締めくくりに相応しい嬉しい出来事でした。
 さらにこのような生徒の活躍が実を結び「留萌管内教育実践表彰」を17年振りにいただくことが出来ました。これは開校以来実施している水産実習、平成26年度からスタートした土曜授業「天売学」、一部科目履修や学校開放講座での地域の学習センターとしての役割が地域に根ざした魅力ある学校づくりを目指し定時制の特色を生かした教育活動や地域の多様な資源を活用した教育活動として評価されての受賞だと思います。
 話は変わりますが、日本での茶道、武道、芸術などにおける「道」を極めるため、ひとつのことを追求していく過程を説いた言葉に「守破離」があります。守破離の語源は諸説ありますが、茶道の道を極めた千利休の説がよく取り上げられていますので、ここでも千利休の説に従っていきます。
 「守り尽くして、破るとも、離れるとも『本』ぞ忘れるな」からできたと言われており、
 守とは、師の教え、型、技を忠実に守り、確実に身に付ける段階
 破とは、他の教えについても考え、より良いものを取り入れ、心技を発展させる段階
 離とは、独自の新しいものを生み出し確立させる段階
 とされています。
 この茶道や武道でよく使われる「守破離」は、仕事でも役立つ大切な考え方だと思います。私が働いている教育の現場でも最初は先輩方の授業を参観したり、生徒とどのように接し指導しているかを見て、やり方を真似し、そして確実に身に付くまで繰り返し実践していく。この段階が「守」となる。さらに他の指導法も研究し、自分にあった、より良いと思われるスタイルをつくる。この段階が「破」となる。そして学んだスタイル、自分に合ったスタイルに立脚し、既成概念から自由になり新たな教育観を生み出していく。この段階が「離」となる。さらに千利休は「本ぞ忘れるな」と言っており、独自のものを生み出したとしても基本を大切にし、自分を支えてくれた人たちへの感謝を忘れてはいけない。
 私も教員となって30年、どの段階にいるだろうか。「守」の学んだスタイルから出て「破」の段階にはなって……。天売に来て3年、この小さな島の小さな学校が私の既成概念を打ち破ってくれました。これからも勉強を続け、「離」の段階に少しでも近づければと「守破離」という言葉を見て思います。
 3年生2名が卒業し全校生徒2名となりましたが、春には3名の新入生を迎え入れ、平成28年度もより一層魅力ある学校づくりを進めて参りますのでよろしくお願い申し上げます。


1表彰式.JPG表彰式
2代表坂本くん.JPG代表坂本くん
3実践表彰1.JPG実践表彰1
4実践表彰2.JPG実践表彰2
5校舎.JPG校舎
6教室の様子.JPG教室の様子

おまけの独り言

「おまけの独り言46」

 【おまけの独り言46】
○ありがとう
 この春の人事異動で、天売高校を支えてくれた清水先生・髙橋先生が転出することとなりました。
 清水先生は、平成21年から7年間お世話になりました。担任と生徒指導部長を行い、熱心に生徒への指導に当たってくれました。コンピューターに詳しいのに加え、スポーツ万能で球技大会等では生徒顔負けの活躍をしていました。真面目で何事にも一生懸命に取り組む姿は、他の先生の模範となるものでした。
 髙橋先生は、平成23年から5年間お世話になりました。担任と教務部長を兼任し、生徒の学習面のサポートをすると共に、水産実習ではウニ缶や燻製作りを進めてくれました。また、水産クラブではナマコハンドクリームやバイオプラスティックなどの研究で本校の名を全道へ広めてくれました。
 2名の先生方には新任地でも、その実力を遺憾なく発揮され活躍して欲しいと思います。
 私も3年間天売高校で勤務させていただき、他では経験できない貴重な時間を過ごさせてもらいました。今月いっぱいで、半世紀以上風雪に耐えた木造校舎に別れを告げ島を離れます。地域の方々や天売高校を応援していただいた皆様に感謝いたします。本当に有り難うございました。
 別れというものは本当に辛いことですが、出会いがあるから別れがあり、別れがあるからまた出会いがあると思い、また会えることを期待し、同じ時間を過ごせたことに感謝いたします。
 校長のつれづれ日記も今回をもってLast Episodeとなりました。
 3年間、たわいのない独り言にお付き合いいただき、ありがとうございました。
【The soliloquy of the black rabbit of Teuri】

IMG_6801.JPG離任式
IMG_6812.JPG集合写真

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