校長のつれづれ日記
Episode 7 ウニ缶詰実習!
日差しも夏らしくなり、多くの観光客の方々が来島し、島が賑わいを見せるようになってきました。
今回は、ウニ缶詰実習についてです。天売と言えば「ウニ!」日本一の呼び声高い地元のウニを使って実習を行っています。実習で使用しているウニの種類は、棘が長く紫色をしたキタムラサキウニです。ここで簡単にウニについて触れさせてもらいます。まずは、ウニの種類。ウニは、世界では約900種、日本では約140種が知られています。そのうち食用としては、約10種類くらいで、日本で主に食べられているのはムラサキウニ、バフンウニ、キタムラサキウニ、エゾバフンウニ、アカウニなどです。北海道を代表するウニには、「のな」と呼ばれる味は淡いが上品な甘みのあるキタムラサキウニと、「カンゼ」と呼ばれる濃厚な味で甘みも強いエゾバフンウニがあります。つぎにウニの食べている部分。ウニの生殖巣を食べているそうです。ちなみにウニには、雄と雌があり雄の場合は精巣を、雌の場合は卵巣を食べることになります(ウニ剥きを何十個もやりましたが、雌雄は全くわかりませんでした)。
ウニ缶詰には、前述のように天売島で朝獲れたキタムラサキウニを使用しています。今回使用したウニの量は、約300㎏(ウニの価格により変わり、昨年度よりも少なくなっています)。作業行程を簡単に説明します。まずは、ウニの殻割り。マキリと呼ばれる包丁を使い、割れ目をつけます。ウニの背の中心にマキリを当て差し込みます。第2段階は、ウニ剥き。細長いスプーン状の道具を使い、生殖巣・内臓などを一緒に殻から取り出し、塩水の中で内臓や汚物・棘を除去し生殖巣をザルの中に集めます。この作業が難しく素早くきれいに生殖巣を取り出すことが求められます。毎回、ウニ剥きには、地域にお母さん方に手伝っていただいています。今年も4名の方々にお手伝いをいただきましたが、スピーディーにきれいな生殖巣を取り出していました。さすが熟練の技です。第3段階は、肉詰。秤を使い、ウニの身を100グラムずつ缶に入れます。その際、身が崩れないよう細心の注意を払います。第4段階は、巻締。製缶機を使い、缶に蓋をして密封します。ここで、私と同い年の製缶機にトラブル発生!缶を送るところが動きません。しかし、水産担当の先生の知識と技術、そして根性で見事にクリアしました。5段階目は、レトルト。ボイラーとレトルト製造機を使い45分間加圧殺菌をします。終了後、冷却します。そして、最後は缶拭き・箱詰め。冷却した缶を、ひとつずつ丁寧に拭き箱に入れます。後日、ラベルを貼って完成です。
ウニ缶詰実習は、他の水産実習と違い、ウニ漁が行われないと実施できないため予定が立てられません。そのため、水産担当者が早朝に漁の有無を確認し、先生方やお手伝いの方々への実施連絡、漁組へウニの手配、小型運輸へ運送依頼、作業場の準備と大忙しで行います。生徒たちの作業は、慣れたもので殻割りからウニ剥き、そして缶詰と手際よく行っていました。今年も美味しいウニの缶詰が出来上がりました。9月に実施する学校祭のときに地域の方々に味わってもらう予定です。今回、楽しみしていたウニ缶詰実習に参加し、作業の大変さが実感できました。また、地域の特産物を生かした加工品を製造することにより、生徒たちの水産資源への関心を高め、水産業の在り方を考えるきっかけになると思います。ご協力いただいた地域の方々、関係機関に感謝いたします。
ちなみに、世界一ウニを食べているのはもちろん日本です。ただ、私たちが食べているウニの9割は輸入物だそうです。7月27日(土)・28日(日)は、「天売ウニまつり」が行われます。是非、天売島にお越しいただき美味しい日本一のウニを味わってください。
ウニ漁の様子
ウニ割り
ALTも参加
ウニ剥き
缶に詰める作業
ウニ缶(密封前)
レトルトがけ
おまけの独り言
めん羊牧場(焼尻島)
羊の丸焼き 7月6・7日に隣の焼尻島で開催された『焼尻めん羊まつり』に行ってきました。赴任する前から天売のウニまつりとともに楽しみにしていたお祭りです。
焼尻島のめん羊(サフォーク種)は、潮風を受けたミネラル豊富な牧草を食べ、そして天敵のいない牧場で放牧されてストレスなく育っているため、臭味がなく柔らかくジューシーであり、フランス料理の高級食材としても使用されているものだそうです。
今回は、本校6年目の先生が音頭をとり、先生方とともに高速船で焼尻へ。わずか15分で到着です。フェリーターミナルには、すでにいい香りが漂っており期待が高まってきました。手慣れている先生は、先頭で船を降りみんなの焼き台とベンチをキープ。さすがです。高級食材であるサフォーク、ホタテ、甘エビ、ヤリイカなどを購入し、小中学校の先生方も一緒に乾杯!炭の火力が弱く早く焼けないと困っていたときに、隣にいたグループが私たちが天売高校だとわかり、場所を譲ってくれました。聞くと、前々校長の高校の同級生だそうで、場所だけでなく焼き肉のたれもいただきました。ありがとうございました。オロ坊 ©羽幌町初めて食べる焼尻のサフォーク肉は、想像以上のおいしさでした。本当に臭味がなく、脂身もスッキリして、噛めば噛むほど肉本来の旨みがでてきました。美味しくてもっと食べたいと思っているところに、保護者の方から差し入れ。ありがたくいただきました。オロ坊と写真を撮ったり、歌謡ステージや三味線、そしてカラオケなどで楽しく過ごすことができました。私は遠慮しましたが、先生方は自転車で焼尻を一周し、マクドナルド上陸記念のトーテムポールやオンコの莊、そして顔の黒いめん羊を見てきたそうです。来年も美味しいサフォークを味わいに行きたいと思っています。みなさんも、是非どうぞ!
今回もたわいのない独り言にお付き合いいただき、ありがとうございました。
※オロ坊:羽幌町のマスコットキャラクター
【The soliloquy of the black rabbit of Teuri】