校長のつれづれ日記 Episode 35 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

校長のつれづれ日記

Episode 35 天売学・水産実習スタート!

 5月も下旬となり、初夏の陽気を感じられる日も時折見られるようになってきました。ただ、天候が不安定でまるで秋のようにコロコロと変わり、この時期には珍しくフェリーの欠航が見られています。
 今回は、二年目を迎えた「天売学」と伝統の「水産実習」についてです。
 天売学は、地域の教育力を活用し、郷土の歴史・文化・自然・観光等を学ぶ機会をつくり、生まれ育った郷土を知り、郷土を愛する心の育成を目指し昨年度からスタートした郷土学習です。天売島には素晴らしい研究や実践をしている方がたくさんおり、赴任当時から講義などで協力してもらえないかと考えていました。しかし、本校は夜間定時制で三修制を実施しているため、授業時数確保を考えるとその時間を捻出することが非常に難しい状況にありました。そこで、町教委と相談し土曜授業として実施を考えました。1回3~4時間の授業を年10日程度、3年間で1サイクルするよう計画を立て実施しています。定時制での土曜授業は、私が予想していたより、大きな成果を生んでいます。
 さて、今年度1回目は、4月25日に実施した「観光:赤岩清掃・島内清掃」です。昨年は8月に行っていた赤岩清掃を「観光シーズン前に行ったらどうか」という生徒の意見で4月に島内清掃とセットで行いました。赤岩の展望台は、すでにウトウが巣穴を掘った土で覆われていました。また観光道路は、かなりの量の空き缶やペットボトルがあり、用意した袋はすぐにいっぱいになっていました。これから訪れる観光客の方々に気持ち良く見てもらいたいという気持ちで清掃を行う生徒たちの姿は、やはり立派で私の自慢の一つです。2回目は、5月16日に実施した「歴史」・「自然」の講座です。歴史の講座では、本校五期生の森脇さんに講師をお願いし、島のニシン漁が盛んだった頃、戦後のもののない頃、高校ができた頃のことなど半世紀以上にわたって見てきた島の様子を講義していただきました。さらに、実際に使っていたランプ、紙幣や硬貨なども紹介してもらいました。自然の講座では、昨年度に引き続き総合研究大学院大学で海鳥の研究をしている佐藤さんが「漁業と海鳥」を題材に、ウトウなどの海鳥が餌であるカタクチイワシをめぐって漁業と競合するため、これらを取り巻く環境を調査することが必要であると講義していただきました。併せて、アラスカの島で行っている調査研究についても紹介してもらいました。次回は、6月に天売の海鳥の様子を船から観察する実習を行う予定です。
 水産実習は、50年以上続く本校の特色ある授業です。毎年、GW開けの「赤ガレイの燻製」(作業工程についてはEpisode20で)からスタートし、6月上旬の「タコ燻製」、6月下旬から7月下旬にかけての「ウニ缶」と続き、秋のスモークサーモンやサケチップ、サケ缶で終了します。この実習の目的は、地域の基幹産業である漁業や水産業への理解を深めることであり、3年間実習を行うことにより水産資源を大切にする気持ちを育てることや地域の発展のために何ができるかを考える機会としています。また、水産実習では、衛生管理や危険を伴う作業に細心の注意を払っています。衛生管理においては、食品衛生責任者の資格を持つ先生の指導で作業場においての靴の履き替え、手洗いなど衛生研修を行い実施します。また、缶詰の製造における加圧加熱殺菌のため、ボイラーを使用しています。本校では理科の先生を中心に、ボイラー技士の資格を取得し、そこで得た専門知識を使い、安全に作業を行えるようにしています。当たり前のことではありますが、生産物と作業者の安全を考え、水産実習における危機管理をしっかりと行っています。このような先生方の姿勢が生徒にも伝わり、実習の時の生徒はいつにも増して真剣です。
 注目!Episode23で紹介したサブリーダーの鈴木先生が、ついに「二級ボイラー技士」の免許を取得しました。これから行う缶詰製造実習時の活躍に期待です。
 話は変わりますが、今年度から始まった生徒募集事業のひとつとして、7月18・19日にオープンスクールを実施します。是非、参加し天売高校・天売島を堪能してください。
 詳しくはWebページの生徒募集で。















IMG_2760.JPG赤岩展望台清掃
IMG_2705.JPGゴミ袋はいっぱい
IMG_2806.JPG天売の最高地点より
IMG_3318.JPG歴史
IMG_3388.JPG自然
IMG_2974.JPG衛生講習
IMG_3126.JPG赤ガレイ







おまけの独り言

「おまけの独り言35」

 【おまけの独り言35】
○挨拶状
 この時期は、転勤した方から挨拶状が届きます。今年もすでに30枚以上の挨拶状が届いています。「あぁ、もうあの学校には一緒に働いた先生はほとんどいなくなったな」、「引越のない転勤だな」、「単身赴任になったんだな」などと思いながら見ています。また、挨拶状に添えられている1・2行の文章を読むのも楽しみです。今回、宮城県で教鞭を執っている大学時代の友人からの挨拶状が届きました。近況報告とともに「HP見ているよ」とのひと言を見て、なかなか会うことはできないが気にしてくれているんだと思い、なんだか嬉しくなりました。友人に恥ずかしくないよう一層頑張らねばと気合いを入れ直した次第です。
 今回もたわいのない独り言にお付き合いいただき、ありがとうございました。
【The soliloquy of the black rabbit of Teuri】



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