校長のつれづれ日記 Episode 19 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

校長のつれづれ日記

Episode 19 少人数の取り組み +3

 4月も下旬に入り、朝晩は冷え込むものの日中は春らしい陽射しが感じられるようになりました。すでにウトウも来島とのこと。GWが近づき観光で訪れる方々の姿も見られるようになりました。ようやく観光シーズン突入です。
 年度末年度始めの慌ただしさが一段落し、ようやく天売高校らしい穏やかな日々が訪れました。4月上旬から対面式、島内一週遠足、生徒総会と行事が続きました。毎年行っている行事ですが、久しぶりに全学年揃うとちょっと雰囲気も変わってきています。
 入学式の翌日の11日に実施した対面式は、多くの学校は在校生と新入生というイメージを持たれると思いますが、本校では新入生だけでなく今年着任した先生を含めて行います。自己紹介では名前・年齢はもちろん、マイブームや今年の目標などについても話します。3年生の中には、「今まで以上に仕事と学業を両立させ、進路目標を達成できるよう頑張りたい。」という力強い発言があり、頼もしく思いました。先生の中にも、「今年こそボイラーの免許を取得する。」と熱く語る者もおり、生徒には負けないという気概が感じられました。その後は、クイズやスポーツレクで楽しみながら交流を行いました。在校生である2・3年生は、生徒会のスタート行事である対面式を成功させるため前年度から何度も話し合い素晴らしい行事にしてくれました。
 第3土曜日の19日に実施した島内一週遠足(海鳥生息地域を中心に遠足を兼ねて行う清掃活動)は、昨年はGW明けに行った行事ですが、観光シーズン前に行いたいという生徒の声でこの時期に実施し、空き缶などを拾いながら島内を一周しました。久しぶりに訪れる赤岩展望台や観音岬展望台では、生徒たちが新しく来た先生方にウトウやケイマフリなどの海鳥の説明し、天売の素晴らしさを伝えていました。もちろん昨年同様、天売島で最も標高の高いところに登り記念写真を撮りました。島外に出ていた生徒と先生も赤岩で合流し、全員で心地よい春風の中歩くことが出来ました。昨年も感じましたが、生徒たちの様子を見て、自分たちが住むこの島を大切にし、心から愛しているといるのだと再度実感させられました。
 24日に実施した生徒総会では、前年度後期の生徒会活動の反省、今年度の事業計画、会計決算報告、予算案と全校生徒8名がテーブルを囲み話し合いをしました。司会や議長、そして生徒会役員、それぞれの役割をしっかりと果たしていました。人数が少なくなると馴れ合いになりがちですが、会議として大切なところをはずすことなく実施している姿から生徒総会を大切にしていることが感じられました。このような姿勢は、私たちも見習わなければいけないところです。
 平成26年度はスタートしたばかりですが、生徒は1年生が2名入学し2名増え、先生も昨年度より1名増えて「+3」となった天売高校の活動は、昨年よりも力強さを増しています。「+3」という数字だけ見るととても小さいものですが、天売高校にとっての「+3」は大きく、私たちの活動の幅を広げてくれます。例年行っている活動も一層盛り上がりを見せてくれるものと思います。今年度は、創立60周年記念事業があり、天売学もスタートの年です。天売高校の「少人数の取り組み +3」に注目してください。

【天売高校を振り返る】~page2 10周年まで~
 昭和34年:職員室増築完了。石黒教諭着任。
 昭和35年:水産科専修生募集。水産実習室(くんせい室)完
       成。田中・吉田教諭着任。
 昭和36年:教育振興会発足。社会学級、珠算科、家庭学級、
       編物及和裁の特別教室開講。長尾校長、白川教
       諭、明石教諭着任。
 昭和37年:羽幌町議会において独立校舎建築議決。校地は、
       池田雄治氏(小樽市)より寄贈。
       校舎建築着工(12月)。校舎落成(3月)。
       校歌制定(作詞 江口 孝 氏、作曲 林 喬木 氏)
 昭和38年:水産実習室(調理室)完成。校旗を天売漁業共同
       組合より寄贈。見原教諭着任。
 昭和39年:開講10周年記念式典挙行(11/22)。校旗
       入魂式、同窓会より図書棚一組寄贈。木下校長、
       山田教諭着任。
 岩戸景気でわいた34年には鉄鋼船「新天羽丸」が就航。36年には、町村北海道知事が来島しています。校長室には、町村知事が書かれた「不撓不屈」の書が飾られています。また、この年にはテレビドラマ「オロロンの島」も放映されています。
 開校10周年記念木下協賛会長は、その記念誌の中で「もし当地にこの本校教育がなく、義務教育のそれだけで、一生をおくる、本島の青年の処遇とその前途を考えたとき、一沫の淋しさを禁じ得ません。しかし、ここには幸いに学ぼうとする者に対して、広く温かく開戸された学舎があるのです。苦節十星霜ここ離島に静かに育まれる地道なしかし、根強い真姿に感激あらたにしながら……。」と述べ、完成した独立校舎で学ぶことの出来る喜びと感謝をあらわしており、当時の方々の本校に対する熱い思いが伝わってきます。









IMG_5974.JPG対面式


IMG_6627.JPG遠足の様子IMG_4424.JPG天売No.1標高地IMG_6847.JPG生徒総会IMG_6219.JPG「+3」


独立校舎.jpg独立校舎



水産実習室.jpg水産実習室

おまけの独り言

ペテロの葬列

image[1].jpg       ペテロ 最近読んだ本は、宮部みゆきさんの「ペテロの葬列」。帯には、【『誰か』『名もなき毒』に続く杉村三郎シリーズの第3弾!拳銃を持った老人によるバスジャックに遭遇。事件は3時間ほどであっけなく解決したかに見えたのだがー。しかしそこからが本当の謎の始まりだった!】とあり、ラストが期待されるものでした。
 690ページという辞書並みの厚さがあり、読み応えのある作品でした。「さくらほうさら」「木暮写真館」も良かったですが、このシリーズも私は好きです。読み終わった後に考えさせられた「ペテロの葬列」というタイトル。みんなの中にペテロはいる。そして、救世主であるイエスもいる。思わず「どうして」と思ってしまうラスト。帯の【「悪」は伝染する。】には頷いてしまいました。 実は、この本を2冊買ってしましました。家に帰り「さあ」と思ったら机の上に手つかずの同じものが……。年を感じてしまいました。もうこのようなことがないようにしなければ……。
 今回もたわいのない独り言にお付き合いいただき、ありがとうございました。


【The soliloquy of the black rabbit of Teuri】


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