校長のつれづれ日記
Episode 12 水産クラブ研究発表大会
11月に入り、朝晩の暖房は欠かせなくなり、少しずつ冬の訪れを感じるようになりました。波が高い日も多く、フェリーに乗るときは酔い止めは必需品です。
今回は、水産クラブ研究発表大会についてです。この大会は、水産教育の充実・発展を期するために、体験的または探索的な水産クラブの実践活動をとおして、自発的な学習の高揚を図るとともに、各校生徒相互の友情を深めるために実施されています。10月末に北斗市七重浜住民センターで開催された第34回北海道高等学校水産クラブ研究発表大会には、函館水産、小樽水産、厚岸翔洋そして天売の4校、10チームが参加しました。
今回、本校の研究発表テーマは、「タラシュウマイ~低コストご島地グルメの開発~」です。時間をかけて生徒たちが試行錯誤しながら研究してきました。その取組の様子は素晴らしいもので、担当している髙橋先生もいつも誉めていました。
生徒たちの発表内容は次のとおり。
『冬場の天売では刺し網漁が行われており、漁獲の7割を占めるのが真鱈です。しかし、冬場は海が荒れ、3日に1日はフェリーが欠航してしまい、出荷できないまま真鱈の価格が下がってしまいます。そこで、その値下がりした真鱈を利用して「低コストなご島地グルメ」を模索しました。すでに羽幌町にある「エビたこ餃子」と同様に、地元をアピールできる「タラシュウマイ」の製造を考えました。さらに天売の名物である「ウニ」を利用したシュウマイ開発を試みました。ウニを具に入れたり、皮に練り込んだり、見た目をウニのようにしたりと5パターンを考え試行錯誤しました。しかし、タラやウニの生臭さや蒲鉾のような食感など問題が出てきてしまいました。それを、下ごしらえの段階で塩を振ることや具にタマネギを入れることで解消しました。次に、大きな食品加工場のない条件を考え、製品ではなく、いつでも、どこでも、誰でも作れる調理法の開発し、「レシピ」という形で発信することを考えました。そのため、あまり家庭で使われなくなった蒸し器以外でも調理が可能か考えました。まず、たらの身の凝固点を調べると60℃とわかりました。身近な物で60℃をキープするのは炊飯器の保温機能です。しかし、調理の際に使用した酒に含まれるエタノールの沸点が78℃であるため保温機能では酒が飛びません。そこで炊飯機能で蒸すことにしました。すると蒸し器と変わらないシュウマイができることがわかりました。しかし、炊飯機能では蒸し器の最高温度より4度高い100℃になってしまうので、味が落ちていないかタラのタンパク質由来のうまみ成分であるアミノ酸量を化学的に分析しました。すると、僅かに減少するものの味には全く問題のないレベルでした。今回の研究の考察は、離島という地理的制約を乗り越える方法として、製品ではなくレシピを発信するというソフト面での輸出が可能であるという点です。』
今回、本校の代表として2年生の網野さん、1年生の萬谷さんの2名が参加し、他の学校が3年生ばかりの中、緊張したようですがしっかりと発表してきてくれました。また、函館水産高校水産食品科の授業に参加させてもらったり、交歓会で他校の生徒と交流することができました。お世話になりました当番校である函館水産高校の生徒・先生の皆さんにお礼申し上げます。
各校の研究発表テーマは、以下のとおりです。
函館水産高校
- 水産食品科:函水CANバーガー~缶詰再生プロジェクト~
- 品質管理流通科:イカフレークの試作(その1)
- 機関工学科:太陽光で温水を作ろう!!
- 海洋技術科:地域と連携したエゾバフンウニの種苗生産~親ウニの養成から放流と追跡調査まで~
小樽水産高校
- 海洋漁業科:大型カレイを狙え!
- 情報通信科:ラジコンボートで水中ウオッチング
- 水産食品科:小樽名物!!ギスカジカうどんセットの試作
- 栽培漁業科:小樽周辺の赤潮について考える
厚岸翔洋高校
- 海洋資源科:未利用資源の有効利用
天売高校
- 普通科:タラシュウマイ~低コストご島地グルメの開発~
優秀賞に輝いたのは、函館水産高校水産食品科「函水CANバーガー」で12月に高知で開催される全国大会に道代表として出場します。活躍を期待しています。
体験授業
初の大人数授業
交歓会
交歓会集合写真
天売高校発表
ネームとお弁当
記念写真
表彰後集合写真
※他校生徒の顔が判別できる写真は拡大できません。ご了承ください。
おまけの独り言
「読書の秋」ということで、休みの日は読書三昧。気になった本をいろいろ読みました。まずは、東野圭吾さんの「祈りの幕が下りる時」、加賀恭一郎ファンであれば言うことなしですね。阿部寛さんが日本橋界隈を歩いている様子が……。越谷オサムさんの「陽だまりの彼女」、Jファンの娘から借りて読みました。最後まで読んでなるほどと思いました。ファンタジーですね。本当に映画の配役は適役だと思います。有川浩さんの「ヒア・カムズ・ザ・サン」、同じ登場人物で少し違う2つのお話し。あなたはどちらの父親がいいですか。私はどちらも……。深町秋生さんの「アウトバーン・アウトクラッシュ・アウトサイダー」の三部作、組織犯罪対策課の八神瑛子、アウトローな女刑事が真実を求めての孤独な戦い。私の好きな話なのでドラマ化されることを期待します。最後は宮部みゆきさんの「小暮写眞館」、読み応えのある700頁でした。主人公の英一くんがあまりにも大人なので、自分がその年代どうだったのかと考えてしまいました。読み終わったあと、ちょっと切なくなる話です。ドラマがまた放送されることを……。
今回もたわいのない独り言にお付き合いいただき、ありがとうございました。
【The soliloquy of the black rabbit of Teuri】