校長のつれづれ日記 Episode 2 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

校長のつれづれ日記

Episode 2 少人数の素晴らしさ

 4月も中旬に入り、春の陽気の日が増えてきました。
 しかし、先日、羽幌への出張の朝、着替えなどの荷物をバッグに詰め準備をしていると、町で各家庭に設置しているIP電話から「今日の高速船は欠航です。」とのメッセージが流れ、画面には泣いている顔のマークが。泣きたいのは私の方…… 
 そのような訳で、出張はとりやめになりました。その日は、2年生の選択授業が開始される日でした。本校は、生徒の多様なニーズに応える弾力的な教育課程を実践しており、定時制本来の4修制(4年間で卒業、1日の授業時間は4時間)に加え、平成17年から3修制を採用しています。3修制とは、3年間での卒業を目指し、1日5時間の授業を受けるものであります。(本校の3修制には、1日5時間授業の一般と1日6時間授業の進学の2つがあります。現在在籍している1・2年生6名は、すべて3修制「一般」を選択しています)
 現在2年生の在籍は4名ですが、その人数に対して3つの選択科目が用意されています。今年は、すべての科目に履修希望があり、3展開で授業が行われています。授業を見に行ってみると、2年生教室の「化学基礎」で1対2、3年生教室の「数学活用」で1対1、4年生教室の「簿記」でも1対1で授業が行われていました。まるで、どこかの塾の個別指導を見ているようです。先生も生徒も授業には手を抜きません。仕事が終わってからの登校で疲れていたり気持ちが入らないのでは思われがちですが、そこは全く心配がいりません。登校してくるときのあの明るく元気な姿、授業中の活発な受け答えから、どんなに厳しい環境でも知を求める者の湧き出すパワーを感じます。ふっと「天売高校の何がいいの?これでしょう!」と思いました。これぞ少人数の利点を生かした一人ひとりを大切にした教育ではないかと考えます。「何人以上受講生がいないと開講しません」などというものとは次元が違います。ここだと学び直しもでき、自分が大切にされ、自分が学校の主役であるという実感を持って授業に望めるは筈です。
 また、本校では一部科目履修も実施しており町民の方が生徒と一緒に授業を受ける機会もあります。さらに、様々な学校開放講座も開講し、地域の生涯学習センターとしての役割をも担っています。
 そう言えば、昨日の体育の前も英語や数学の先生がジャージに着替えているので、もう部活動の準備かと思っていたら、みんなで体育の授業を行っていました。もちろんランニングから体操まで一緒に。ただ、息が上がっていたのは先生方の方でしたが……。
 是非、多くの方に授業を参観しに来ていただきたいと思います。生徒の輝く目を、先生の暑苦しいくらい情熱のこもった授業の様子を見てください。そして声を掛けてあげてください。
 来島の折には、海鳥や半世紀を耐えた校舎だけでなく、頑張っている生徒の姿も是非、見てください。

IMG_2651.JPGIP電話(欠航)IMG_2655.JPG欠航の泣き顔マークIMG_2613.JPG化学基礎(1対2)IMG_2641.JPG数学活用(後ろの2人は教員です)IMG_2622.JPG簿記(1対1)

おまけの独り言

天売島_0048.JPG海底探勝船(2010年当時) NCM_0326.JPG新造船の高速船「さんらいなぁ2」もうすぐGWです。今回は少し足を伸ばし海鳥観察舎まで散歩し、屏風岩や女郎子岩などの奇岩を見てきました。赤岩展望台までの急な坂を登り切り、焼尻を見ながら歩いて行くとすぐに海鳥観察舎につきました。前回と違い、風もなく穏やかで気持ちのいい日で、オオセグロカモメやウミネコ、ウミウ、ヒメウを観察することができました。(ただ、観察舎には番人のようにカラスがじっと私を見ていましたが…)
 その後、日曜日の夕方にウトウのナイトウオッチングへ出掛けてきました。徐々に辺りが薄暗くなってきたころ、どこからともなくウトウの大群が帰巣してきました。「ものすごい数だよ」とは聞いていましたが、予想以上でした。上空を飛び交うその姿に圧倒され、暫し呆然としていました。日が落ちて真っ暗になった時には、私の周りを低空飛行で飛ぶウトウ・ウトウまたウトウ。本当に感動しました。
 話は変わりますが、天売の海底探勝船が復活します。運営するのは、知床半島で観光船業を営むゴジラ岩観光です。本島在住の自然写真家寺沢さんが知床を訪れた際に、現在、海底探勝船が運航されてないことや島の現状を社長である小林さんに話したところ、小林さんの両親が本島出身であったこともあり、「両親の故郷に恩返しがしたい」とその運営を決意されたということです。海底探勝船は5月下旬に、同社が運営する食堂はGW前の営業開始を予定しているそうです。
 4月に就航した高速船「さんらいなぁ2」、そして5月からは海底探勝船。是非、天売島にお越しください。

【The soliloquy of the black rabbit of Teuri】


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