校長のつれづれ日記 Episode 41 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

校長のつれづれ日記

Episode 41 水産クラブ研究発表大会 2年連続優良賞!

 11月は、薄手のコートで外出できるくらい例年になく穏やかな日が多かったのですが、下旬からは気温も下がり冬がそこまで来ていることを感じるようになってきました。
 今回は、水産クラブ研究発表大会についてです。この大会は、水産教育の充実・発展を期するために、体験的または探索的な水産クラブの実践活動をとおして、自発的な学習の高揚を図るとともに、各校生徒相互の友情を深めるために実施されています。10月28・29日に北海道函館水産高等学校で開催された第36回北海道高等学校水産クラブ研究発表大会には、函館水産、小樽水産、厚岸翔洋そして天売の4校から各学科の代表10チームが参加しました。
 今回、本校の研究発表テーマは、「マリンバイオプラスチックⅡ」です。
 昨年から島の環境保護に着目し、きれいな海岸を取り戻すため環境負荷の少ない素材からプラスチック製品を作り、資源の循環を促すことを目的とし、水産実習の際に出る廃棄物である魚の内臓・鱗、タコの皮を原料に、土に還るバイオプラスチックの合成を試みています。
 今年の研究内容について、水産クラブ担当の髙橋教諭が次のように説明してくれました。

昨年の研究を継続し製品化へもう一歩踏み込んだ今年の研究では、釣り用のワームを試作し、性能を評価しました。なぜ試作品に釣り用のワームを選んだかというと、漁具は海に流出する可能性が高いからです。研究活動の一環で、海鳥とプラスチックごみに関する情報を調べたところ、胃袋の中にプラスチックごみが入っている海鳥は90%に上るという海外の論文が見つかりました。海に流出するプラスチックを分解される素材に置きかえることで、美しい海岸線の景観を保全することだけでなく、海鳥の保護にもつながると確信して研究に臨みました。

原料は6月のタコ燻製実習で大量に出た、廃棄物のタコ皮です。タコ皮から80℃で熱水抽出したゼラチン水溶液に、市販の粉末ゼラチンとグリセリンを混合して湯せんし、タコ皮ワームを合成しました。湯せんから取り出して熱いうちにセッコウの型に流し込み、冷めたらはがしてメスで整形して完成です。

このタコ皮ワームを使って、分解されて土に還るのか、さらに、市販のワームに劣ることなく魚を釣ることができるのかの二点を調べました。米ぬかと腐葉土で微生物を繁殖させ、保温したコンポストに投入すると、数日で跡形もなく分解されて土に還っていました。そして、10月中旬の天気のよい日、タコ皮ワームと釣竿を持ち天売港で生徒・教員の6名で実際に釣りによる調査を行いました。市販のワームとタコ皮ワームで釣りを行い、釣れた魚の数を計測すると、前者は16匹、後者は24匹でした。

この結果を、釣れる確率等を考慮して統計学的に分析すると、タコ皮ワームは市販のワームと同等に釣れるという結果が出ました。以上のことから、生分解性ワームを製造する技術を開発したと言えます。

 


 函館で開催された水産クラブ研究発表大会には、坂本くんと泉谷くんが代表として参加し発表しました。惜しくも優秀賞(全国大会出場)は逃しましたが、昨年に引き続き優良賞(2位相当)を受賞することができました。生徒たちは、次年度も引き続き研究を進め、優秀賞獲得を目指したいと話しています。
 普通科である本校をこの研究発表大会に参加させていただいている水産部会の皆様、今回の当番校である函館水産高校の皆様に感謝申し上げます。


1 タコ皮ワーム作成(1).JPGタコ皮ワーム作成(1)
2 タコ皮ワーム作成(2).JPGタコ皮ワーム作成(2)
3 タコ皮ワーム完成.JPGタコ皮ワーム完成
4 コンポスト.JPGコンポスト
5 釣りによる調査(1).JPG釣りによる調査(1)
6 釣りによる調査(2).JPG釣りによる調査(2)
7 H27全道水産クラブ (1).JPGH27全道水産クラブ (1)
8 H27全道水産クラブ (2).JPGH27全道水産クラブ (2)

おまけの独り言

「おまけの独り言41」

 【おまけの独り言41】
 ○烏賊釣り
 今年の秋は、烏賊釣りを楽しんでいます。天売港には10月中旬から「マイカ、ヤリイカ、ケンサキイカ」などが入ってきています(その年によって違いますが)。わたしも、先生方と一緒に堤防からテーラーでイカを狙っています。イカが掛かり電気浮きが引き込まれるときは、最高に気持ちが高揚する瞬間です。ただ、始めて5分で掛かるときもあれば2時間やっても全く当たりがないときもあります。イカを待ちながら過ごす時間も楽しいものです。島の人たちもこの時期のシロイカ(ケンサキイカ)は、刺身はもちろん醤油漬けにしても美味しいと話しています。そろそろイカ釣りのシーズンも終わりですが、今年最後の一杯を目指して、今日も出掛けてきます。
 今回もたわいのない独り言にお付き合いいただき、ありがとうございました。
【The soliloquy of the black rabbit of Teuri】


イカ1.JPGイカ1
イカ2.jpgイカ2

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