島めぐり風だよりvol.23 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

島めぐり風だより Vol.23(2013.3.22)

『天売賛歌』

「いつも支えてくれた先生たちへ。天売高校の先生たちはとても親身で、生徒の話を聞いてくれたり、相談に乗ってくれたり、とても楽しい時間を過ごすことができました。1年生の時は学校に来たくない、やめたいと思っていました。しかし、先生たちがいたから楽しく3年間学校に来ることができました。それに1年生の時から比べると勉強に対する意識が変わり、勉強で使う力と、将来必要な考える力は同じだと思うようになりました。そう思えるようになった時、勉強にも学校生活全体にも、前向きに取り組む事ができるようになり、この天売高校で大きく成長することができました」卒業式での答辞の抜粋である。目の前の学習が自分の未来につながっていることを自覚したとき、生徒は自分自身で走り出した。個性を伸張し、将来の自己実現につながるような進路を保障できたのではと安堵する。生徒の変化や成長が、言葉となって返ってくるのは心底うれしく、教師冥利に尽きる。
 魅力ある漁業が営める島、安心して暮らせる島、人がやってくる島という基本目標を掲げ、向こう10年間の離島振興計画が羽幌町より発表された。この計画に沿って島や学校はどのようになっていくのだろうか。楽しみである。おりしも天売高校は来年開校60周年を迎える。人間でいえば還暦、人生が一巡して再スタートする節目である。
 過日入学者選抜合格発表があり、新年度2名新入生を迎えることになった。賑やかになり学校も活気づくに違いない。「もう卓球部に入部してもらうことになってるの」と笑顔で話す部員が自分だけのAさん。同じ体育館で練習しながらも、生徒同士で技量を磨きあっているバドミントン部が羨ましかったことであろう。早くも次年度の定時制通信制体育連盟の大会に期待がかかる。
 4月からは、羽幌と天売を結ぶ新高速船が初運航を予定している。所要時間も1時間を切り羽幌が近くなる。船体には観音崎らいな(※)が描かれており観光客を歓迎する。離島の玄関口となる新フェリーターミナルもオープンし、交流人口の拡大が期待される。小型風力発電の導入や電気自動車の普及促進を目指す羽幌町「エコアイランド構想」が、道の支援で実施され今年度も継続する。
 天売島には、日本で唯一繁殖するオロロン鳥(学名ウミガラス)をはじめ、ケイマフリ、ウトウ、ウミスズメなど8種類約100万羽が春の訪れと共に飛来する。夏はコロニーを作り、子育てをする。オロロン鳥とウミスズメは、絶滅の可能性が極めて高い絶滅危惧ⅠAに指定されている。環境省羽幌自然保護官事務所によると、昨年オロロン鳥10羽の巣立ちが確認されて16年振りの2桁となり、ウミスズメは125羽が確認された。またケイマフリは絶滅危惧種Ⅱ類に指定されているが、最大455羽も観察されている。バードウォッチャーを魅了してやまないのが天売島だ。
 四季を通じて高山性の草花が咲き誇り、エゾエンゴサクやニリンソウ、エゾスカシユリ、オオマツヨイグサなどが心を和ませてくれる。クロユリやオオウバユリ、エゾニュウ、ハクサンチドリなど島の人は見慣れた花でも旅の者には、とても珍しい花だ。何よりきれいだ。
 こんな島で学んでみたい生徒や教鞭を執ってみたい教師は、是非来たれ。長い人生で貴重な日々となるのは間違いない。校歌に謳われる「つどいて誓わん永遠の栄え」を願わずにはいられない。

※注:地元バス会社の萌えキャラ。離島の中学生という設定で、天売島の名勝観音崎が名字になっています。


IMG_8466.JPG卒業式・答辞IMG_8380.JPG卒業式・全校生徒IMG_8396.JPG卒業式・授与後に握手高速船.jpg新造船の高速船さんらいなぁ©羽幌沿海フェリーエコアイランド構想.jpgエコアイランド構想資料©羽幌町

※写真は一部加工を施しています。

オロロン日誌

今月のフェリー出航は9日だけと日本海が大荒れ(3月22日現在)です。昨年は1ヶ月で3日しか欠航していませんでしたのに。昨年比4倍の欠航率ですから驚きです。

春を探しました。小川のせせらぎ、薄緑の芽や葉、雪の下にはバッケ(ふきのとう)もあるはずです。雪解け水が流れ、川縁にはツララも。天売では「たろんべえ」というと古老から教わりました。

3月の波濤.JPG3月の波濤春の予感.JPG春の予感氷の造形.JPG氷の造形


雪の下から緑が.JPG雪の下から緑が小川の氷柱.JPG小川の氷柱