島めぐり風だよりvol.20 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

島めぐり風だより Vol.20(2012.11.28)

『種子は希望』

 始業前にもかかわらず、検定合格を目指し生徒が早めに登校しパソコンに向かっている。一般の方(若いお母さん)も受検するので、生徒と席を同じくして練習に参加。お母さんが練習している間、連れてきた乳幼児は他の生徒や先生が子守をする。生涯学習センターの役割をも担う本校では、地域の方も授業に一部参加している。一部科目履修といい、現在7名ほどが週2回、文書デザインという商業科目を熱心に勉強されている。指導する教員の魅力だろうか、複数年にわたり受講してる方がほとんどである。最近は年賀状づくりに精を出している。

 学校は賑やかなほうが良い。いろんな方が集まり交流する場が成熟するには、学校にまた来たいと思わせる機会が豊富なことが望ましい。学校開放講座は前期4講座を終了し、後期も6講座が開催される予定である。小学生を中心に幅広い年代の方が足を運ぶ。学校に地域の方が出入りしてくれると、生徒の成長を褒めていただく機会が増える。また生徒も人の眼を意識して生活し、自ずと礼儀が身につくというものである。「ちょっと先生、最近は…なのね」等と情報や意見がいただけると、これまた学校には有難い。私の経験からすると、教師は生徒や地域の方から褒められると俄然とやる気を出す。

 英語の先生は、年に何度か来島するALT(※)の先生に働きかけ、生徒と一緒に体育に参加してもらったり、特技であるヨガの講座を開催するよう交渉してくれた。出張で来たALTも、学校教育に巻き込んだかたちだ。来日前にインドでヨガの修業をした経歴を活かして、たどたどしい日本語で教えてくれ感謝している。今まで高校に余り足を運ぶ機会がなかった身体を動かしたい世代の女性たちが、主に集まってきた。私も参加してみるとココナッツ、踊るシバ、猫のポーズなどを「吸って、吐いて」とゆっくりしたリズムで指導してくれる。固まった体が伸び、実に気持ちがいい。

 公開授業では小中学校の先生方がたくさん足を運んでくれた。島の学校では、教科担任が一人しかいない場合が多いので、同じ教科同士で学び合い教科指導力を少しでもつけたいという切実な思いがある。3年生の数学では、生徒と一緒に授業を受けている若い教員の姿があった。小中と同級生がいなかった生徒が、この時間ばかりは相談しながら解答を探ったり、いきいきと競い合い興味関心や知識を伸ばしている姿が見られた。
できないことを数えても仕方がない。まだまだできることはあるはずだし、誰かが蒔いた種は、時が経てば芽が出てやがて希望になると信じている。

※ALTはAssistant Language Teacherの略で外国人指導助手のこと。天売にはニュージーランド人のウィルとカナダ人のケンが来てくれています。

IMG_2382.JPG講習の様子IMG_2384.JPGちびっこの子守りIMG_2203.JPG公開授業IMG_2240.JPG公開授業IMG_2210.JPG公開授業

※写真は一部加工を施しています。

オロロン日誌

11日は天候が良く、遠く利尻島と礼文島が見えました。私のデジカメでは撮れず、お見せできないのが残念です。自転車で今年最後の島1周をして、ヌメリスギタケモドキやエノキも採ってきました。

黄土色した落葉の絨毯が続くフットパス脇には、ミネシメジやムラサキシメジが群生しています。オオウバユリの果実には、何千という種子が詰まっており風にのって来年に命を繋ぎます。

天売灯台から焼尻を望む.JPG天売灯台から焼尻ヌメリスギタケモドキ他.JPGヌメリスギタケモドキ晩秋のフットパス.JPG晩秋のフットパスオオウバユリ果実.JPGオオウバユリ果実オオウバユリ種子.JPGオオウバユリ種子