島めぐり風だよりvol.22 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

島めぐり風だより Vol.22(2013.2.28)

『感謝の気持ち』

 「先生、俺たち予餞会には出たくありません」とクラスの生徒から相談されたのは、初めての担任の時だ。面白くない出し物をしたクラスには、容赦なく銀玉鉄砲やトイレットぺーパーがステージに飛んできた。数年後、ゆとり教育が国の施策として進み、行事の見直しで予餞会が消えた学校も少なくない。残っていても送る側と送られる側で気持ちが通い合っておらず、生徒会執行部はもちろん、生徒会を指導する教員も頭を痛めている学校もある。
 さて本校はというと、今年も熱く感動的な予餞会となった。生徒会行事の締めくくりとして、新入生歓迎会や対面式を企画し、学校生活や部活動を牽引してくれた上級生を卒業式前に祝おうと、新執行部が冬休み明けより、生徒会誌の編集と並行しながら準備を進めてきた。当日教室を紅白幕と飾り花で華やかに彩り、床にカーペットを敷いて車座状態で生徒や職員が座る。
 家庭学習期間明けで久しぶりに登校してきた最上級生が担任と一緒に入場すると、拍手で迎える。生徒会長が挨拶し、お食事会がスタート。ジュースやお菓子を食べながら談笑し、和やかに時間が過ぎていく。メインディッシュが運ばれてくる。お好み焼き14枚重ねだ。きっと人生の中で一番多くお好み焼きを焼いたであろう担当者は、山芋でふんわりした口触り、お好み焼きにだしの素を追加するのがうまさの秘訣と胸を張っている。披露宴よろしく3年生と担任がケーキ(?)入刀をしてまたまた拍手。ほんのり温かく確かに上手い。始まる前に廊下に漂っていたいい匂いに期待していた胃袋を裏切らない。
 チームに分かれレクレーションが始まる。定番SHOWや早押しクイズと、テレビにヒントを得た企画がテンポ良く進む。若い先生がパソコンを両脇に置きながら操作し、映像や音楽を流しながらリアルタイムで得点を表示する。執行部の狙いどおりに笑いが起き、飽きさせない工夫が満載だ。演技力対決では、とにかく相手に見破られない様に振る舞う。去年、わさびシュークリームを見事さとられることなく食べきったW先生は、今年も期待を裏切らない。本人はまたかよと嘆くものの笑いが起こる。もったいない精神で食べ物はもちろん粗末にしない。新旧の生徒会長もせんぶり茶を苦い顔せず飲みきり、名優振りを見せてくれる。
 後半は、冬の日本海のように感動が怒濤のごとく押し寄せる。スライドショーでは3年間の学校行事が、学校祭のテーマ曲に合わせて流れる。ビデオレターでは旧職員が、それぞれの任地からはなむけの心温まる言葉をくれる。教職員や在校生からは、その場でメッセージが贈られる。涙ながらに語る者、ギターを奏でる者、思い出を吐露する者などなど。現生徒会長は、先輩は自分の憧れであり、生徒会行事で助けられたことや、部活動で勝てなかった悔しさをぶつける。苦しい基礎練習から逃げない姿勢が強さの理由、と鼻をすすりながら締めくくった。最後に3年生からお礼の言葉があり「1年生の時は、高校を辞めたいとか授業が面白くないとかばかり言っていた。先生方のお陰で、勉強が無駄じゃないことが解った…」と語る。
 教室だけで教えたとて感性は養えない。自然の摂理を体感できる環境の中で、感性を豊かに育てて来た生徒は優しい。そして心からありがたいと思う感謝の気持ちを忘れない。


IMG_8041.JPG卒業生・担任入場IMG_8059.JPGお好み焼きIMG_8073.JPGお好み焼き入刀IMG_8151.JPG演技力対決IMG_8176.JPG卒業生へのプレゼント

※写真は一部加工を施しています。

オロロン日誌

天売の草花を描く絵手紙教室が終わりました。「下手でもいい下手がいい」が絵手紙の基本。明日に向かって今日の自分を残していく自分史づくりでもあるとは、増田美恵子さんの言葉です。仲間の輪が拡がり心も豊かになりました。冬早朝の北北西の方角に浮かぶ利尻島も描いて見ました。

校旗は開校10周年記念式典(昭和39年)で天売漁業協同組合から寄贈されました。入学式と卒業式に披露されます。手元房がほどけており菊結びに難儀しました。今年もいよいよ出番です。

SANY0026.JPG絵手紙(焼尻島)SANY0027.JPG絵手紙(利尻富士)SANY0028.JPG絵手紙


IMG_2458.jpg校旗IMG_2460.jpg校旗(菊結び)