島めぐり風だよりvol.18 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

島めぐり風だより Vol.18 (2012.9.26)

『飛躍』

 天高祭の挨拶をお願いしますと生徒会顧問から依頼される。普通の学校?であれば、実行委員や生徒会の生徒以外は着席しており、全校生徒に向かって盛り上がっていきましょうなどと、校長自ら生徒会生徒に頼まれ仮装をして盛り上げる学校もあるが、本校はそうはいかない。なぜなら私が挨拶するのは生徒ではなく、子や孫が出てくる一夜限りのステージを楽しみにして来校する地域の方々だ。失礼のないよう早めに切り上げる。
 誰一人座ってステージを見て、団扇をあおいでいる生徒はいない。生徒は全てスタッフとして動き回っており、裏方や出演者として何役もこなし休む暇もない。私が今まで勤めた学校では、他校の生徒や卒業生とトラブルを起こす原因となるので、入場者を肉親に限るなどしていたものだ。しかし本校は、外部の方大歓迎が慣例となっている。一部分だけ見れば、さながら島の大演芸会だ。不審者が入って来ないよう塀で囲い、来校者をカメラ越しに確認してからオートロックを開錠する時代に逆行しているのが本校の自慢だ。本来学校は開放的であるべきなのだ。
 観光客も見に来てくれた。きっと宿のご主人が、長い夜を持てあましたお客さんに勧めてくれたのだろう。提出されたアンケートには、「4人だけとは思えない出来ばえで感動しました!!天売は若者も子どもたちも生き生きして素晴らしいです。旅行に来ていて参加しました。良い思い出ができました。ありがとうございました」と書いてくれた。生徒もしてやったりといったところだろう。  
 今年は、昨年度よりさらに島民の皆さんに楽しんでもらえるような天高祭へと大きく羽ばたきたいとの思いから、生徒は第55回天高祭のテーマを「飛躍」とした。北海道にある島の高校としては一番長い伝統を誇り、開校60周年を3年後にひかえた生徒の心意気や素直な気持ちを表すにはふさわしいテーマだった。
 保護者や同窓生、そして一部科目履修生の方々には、屋台の運営等でひとかたならぬお力添えをいただく。この日のために札幌の学校へ進学した先輩たちは帰島し、天高祭を盛り上げてくれる。先輩の思いやりがひしひしと後輩に伝わる。寿券(※)を持って来校して下さるお年寄りもいる。煙の中、何百本と串ものを焼いてくれる中年同窓生もいる。
 閉会式で生徒会長は、何度も言葉に詰まりながら挨拶を絞り出すように話す。時間をかけ、汗を流して積み上げたことへの満足感と、仲間たちへのねぎらいと地域の方への感謝を忘れない。もらい泣きをしている大人たちも少なくない。笑いあり涙ありの“素晴らしきかな天高祭”は、今年も感動のうちに終わったのだ。

※寿券:高齢者の方々に配布した、露天屋台のメニュー一品をプレゼントする生徒会企画の無料券。

IMG_6220.JPG会場の様子IMG_6343.JPGステージ劇IMG_6605.JPGよさこいIMG_6718.JPG今年のテーマ

※写真は一部加工を施しています。

オロロン日誌

空気が澄み切り、天高く馬肥ゆる秋本番です。ヤマブドウやコクワが今年はたわわになっています。雷の多い年は、キノコが期待できるそうなのでこれからが楽しみです。

ようやく涼風が吹くようになってきました。野の花も限られてきますが、この時期どの草花も精一杯咲いており、翌年に向けて種子も様々で個性豊かです。

オオアキノキリンソウ.JPGオオアキノキリンソウオオウバユリの果実.JPGオオウバユリの果実ジェリービーンズみたいなマムシ草の実.JPGマムシ草の実ユウゼンギク.JPGユウゼンギク落葉きのこ.JPG落葉きのこやまぶどう.JPGやまぶどう