島めぐり風だよりvol.4 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

島めぐり風だより Vol.4 (2011.7.1)

『学校は期待されている』

 研修は、今日的な教育課題を解決するための重要な機会である。教員の活動は、人間の心身の発達にかかわるものであり、生徒の人格形成に大きな影響をおよぼす。それゆえ、職務を遂行するために研修は不可欠なものとして位置づけられる。今年度はじめの校内研修は、公開授業のあとに合評会をした。私が講評を述べたのち、最後に先生方にちょっとしたゲームを提案した。名刺大ほどの紙をくばり「教師ほど○○○○○○職業はない」の空欄に適語を記入してもらう。◆教師ほど生徒の可能性を感じられる職業はない◆教師ほど相手に感動や喜びを与えられる職業はない。◆教師ほどサービス精神の必要な職業はない◆教師ほど楽しめる可能性を秘めた職業はない◆教師ほど楽しい職業はない◆教師ほどやりがいのある職業はない◆教師ほど演技力を問われる職業はない。
 なるほどと感心することしきり。本校の先生方はきわめて健全で、明るく前向きな人材(人財?)が揃っていることを分かっていただけると思う。
 当日出張で2人が不在、後日提出してくれた。教師ほど人と深く付き合う機会の多い職業はないとつづったのは、学校の要である教頭先生。そしてもう1人は、教師ほど世間知らずな職業はないと書き出した。さて自虐的なこの先生、年齢や勤続年数は?分かりますか。
 たしかに教師ほど世間知らずな職業はないとも聞く。しかし、学校教育現場は、今日さまざまな課題を抱えていることはいなめない。いじめ、不登校、モンスターペアレント、ひきこもり、早寝早起き朝ごはん等々。期待の裏返しとはいえ、教師は、家庭教育や社会教育をもカバーするべく多忙感を抱えている。ほとんどの教職員は、生徒のために誠心誠意、職務を責任ある態度でこなしている。メンタルヘルスに支障をきたす教師は、まじめな人に多く、新聞に取り上げられる問題教員は、ほんのひとつまみである。そんな中、十把ひとからげで世間知らずといわれては、気分を害するというものだ。今や学校はあいさつやしつけから始まり、いのちの大切さや死生観まで教える場となる勢いである。
 学校が期待されることは、とてもうれしいことだ。ただし学校ができることはわずかである。生活のために必要な習慣を身につけ、自立心を育成し、心身の発達を図るよう努めるのは親の責任。また社会における教育は、個人の要望や社会の要請にこたえ国や地方自治体により奨励されると教育基本法に明記されている。
 本校は、地域に根差した教育活動が充実しているのが特色のひとつ。普通科であるが水産実習が必修科目になっている。今年はすでにカレイとタコの燻製が製作された。生徒と先生が、笑顔でマキリといわれる刃物を片手に奮闘していた。地域も応援してくれ、燻製につかわれるオガクズは、漁業共同組合の好意でいただいている。一部科目履修(※)は、今年度「文書デザイン」で9名の島民が通っている。担当のM先生は、語り口が好評で幅広い年代の方々に文化センターの講師よろしく笑顔で教えている。運動会は、小中高のみならず園児や地域の方も参加する島の一大行事。部活動でも中学生と高校生が合同で練習する場面もあり、生徒が仕事等の都合で不参加の場合でも本校職員は中学生相手に熱心に指導している場面も見られた。地区中体連の大会には、高校の顧問が審判としてお手伝いに参加した。先日は、大学を卒業したての初任教員が学校公開講座を開講し、バケツで稲の栽培をこどもたちに教えた。その後の泥あそびや木登りもおまけについていた。
 まもなく夏休み。先生方は、校外研修の機会を活かし島外に出る。たくさんのお土産話を持って帰島し、生徒に驚きや感動を還元してくれることだろう。

※一部科目履修:入学生でなくとも高校の授業を受けられる制度。生涯学習に一役買っている。

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オロロン日誌

赤岩展望台では、ケイマフリやオロロン鳥に会える確率が高いようです。断崖の裂け目で、ケイマフリを見れました。アイヌ語でケマ(足)、フレ(赤)が名前の由来。赤い足と黒い頭に、目の周りが白い愛らしい海鳥です。

夏が近づき、色の濃い花が目立っています。エゾゼンテイカは蝦夷禅庭花。エゾスカシユリは蝦夷透かし百合。その名のとおり花を覗くと隙間から外が透けて見えます。


夏の赤岩.JPG赤岩ケイマフリ羽ばたき.JPGケイマフリの羽ばたき可愛いケイマフリ.JPGケイマフリ


祭り前の社.JPG祭り前の社エゾゼンテイカ.JPGエゾゼンテイカエゾスカシユリ.JPGエゾスカシユリ