島めぐり風だより Vol.1 (2011.4.16)
『主役はふたり』
着任し半月が経過しました。フェリーが岸壁に近づき窓から見ると、波止場には人だかり。「あなたを待っていました。一緒に頑張りましょう」との横断幕を持って多くの島民の方々が出迎えてくれました。高校職員は、歓迎天売高校教職員一同と私の名前を書いたものを同様に準備してくれ感激しました。面映い気持ちと期待に応えなければと熱く高ぶる感情の中、天売島に上陸したのがつい昨日のことのようです。
残念ながら今年の入学生はおりませんが、2名の在学生が明日の自分を目指して可能性を探求し、大きく成長していけるよう教職員一同頑張りたいと考えています。
始業式の日、羽幌と天売島を結ぶ公共交通機関である連絡船が欠航。今年二年生に進級した男子生徒R君が前日まで羽幌に出掛けており、やむを得ず欠席との情報が朝にありました。ところが午後になり漁船で帰島、しっかり登校して来ました。感心することしきりです。彼は既に昨年より漁業権を取得してウニもひとりで採取できるとのこと、天売の漁師となって島に残ることをすでに決めています。なんと逞しいことでしょう。
大掃除の最中、何度となく校長室に足を運び学校のことや自分のことを教えてくれました。小学校入学前から同級生がいないといいますから驚きです。社会性もあり学業と仕事を両立し、定時制である本校の良き伝統と校風を立派に引き継いでくれています。天売高校の校風は、人と人とのつながりが濃く温かいことだなと日々実感しています。創立以来町の学校として地域が支え、卒業生が懸命に歩んだ軌跡が良き伝統となっています。
もう一人の主役である生徒は、3年生になった女子生徒Aさんです。生徒会長をしています。昼間は町の郵便局で郵便物の種分けをしています。彼女が達筆な字で書いた3年生の学級目標は「百花繚乱」。夢や希望、思いや願いなどたくさんの花々が、咲きほこることを期待しています。
生徒が登校して来ない休業中の学校は、とても静かで私は苦手です。春休みが終わり、生徒会行事の打合せをする生徒と先生の楽しそうな笑い声が校舎に響き、本校の歴史に新たなページを飾る新年度がいよいよ始まりました。これから主役のふたりが協力し合い、どんな1年になるのか今からとても楽しみです。