島めぐり風だよりvol.13 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

島めぐり風だより Vol.13 (2012.4.27)

『成長』

 「あれっ、大きくなった?」春休み明け、登校してきた生徒会長に会うと随分と逞しくなった気がする。聞いてみると、昨年学校祭で来ていたTシャツが小さくなったという。『男子、三日会わざれば刮目すべし』は好きな格言のひとつだ。刮目とは、目を擦って注意深く見ることだ。人は数日振りに会うと、成長していることがあるからよく見なさいという意味だ。漁師であり、発育期にある健全な青少年だから大きくなって当然なのだが、生徒の成長にはいつも驚かされる。少しずつ変わってきたのであろうが、気がついたときには腕も胸板もがっちりしてきて随分と立派な漁師になっている。
 体育の時間は、体育館に生徒と教員が勢ぞろいする。これまた先月とは違う空気が流れている。それもそのはず、1年生が3名入学し、全教員の1/3が代わった。昨年のこの時期総勢11名でやっていた体育の授業が13名になり、およそ半数がニューフェイスなのだから。義務教育を終えてまだ幼さが残る新入生、初めて教壇に立つ新米教師、新しく学級担任としてクラスを任された教師、大規模校から小規模校へ転勤してきた教師など、3月までの各々を取り巻く環境が大きく変わった。環境が変われば、人としての気持ちも変わる。新鮮な期待や意気込みが、にぎやかな声と共に体育館にあふれているのだ。だから新学期はたまらない。全道には250校ほどの公立高校があるが、生徒数が倍になった学校は本校くらいのものだろうと一人で悦に入る。
 年度始の職員会議では、天売しかできない、天売だからこそできる教育活動をしていきましょうと経営方針の内容として先生方にお願いした。また島にひとつしかない高校ではあるが、もしもうひとつ高校があったとしても本校を選んでもらえるような教育活動をしていきましょうとも。教育指針である校訓の趣旨をいかし教育目標を実現するために、今年度も教職員が研修を積み力量を伸ばし、個性を発揮し教育活動に専念できる環境を作らねばと考える。生徒を成長させるための骨折りは、教師の成長にもつながっている。教師が生徒に与える以上の喜びを、生徒が返してくれることは経験上間違いない。ただしそれが何年先になるかは分からないのも教育の醍醐味だ。
 ベテラン英語教師のW先生が嘆く。体育館でバトミントンの練習をしている新入生を見て「私が島に来たときは私のほうが上手くて試合でも勝っていたのに、あっという間に追い越されてしまいましたよ」と。生徒の成長は早いが、子ども達と一緒に動いたことは、※骨折り損のくたびれ儲けにならず何倍にもなって返ってきますのでどうぞご安心を。

※注:W先生は2ヶ月前に生徒とバスケット中に、捻挫。しばらく経ち通院すると、実は骨折していたことが判明した強靭な人物。

IMG_3276.JPG着任式の様子IMG_3888.JPG1年生教室IMG_3312.JPG人数倍増IMG_3314.JPGバドミントンの練習IMG_3618.JPG体協バドミントン教室より

※写真は一部加工を施しています。

オロロン日誌

島外周道路の自動車通行が16日にようやく解禁。直前に自転車でいってみると、蔵王や知床の林道と同様ロータリーが除雪し、雪の回廊になっていました。

4月下旬。一気に雪解け。北の繁殖地へ移動する珍しい渡り鳥が見られ、天売の花が開花しました。今年度も草花を中心に天売島の風土や歴史、暮らしの様子をこの欄でご紹介します。

雪の回廊.JPG雪の回廊イカの定置網.JPGイカの定置網ジョウビタキ.JPGジョウビタキ


ふきのとう②.JPGふきのとうエゾエンゴサク②.JPGエゾエンゴサク行者ニンニク.JPG行者ニンニク