島めぐり風だより Vol.21(2013.1.29)
『昨今教育事情』
本校のいじめの調査アンケート結果を見ると、生徒が健全に成長していることが判る。驚いたことに「いじめられた時誰に相談しますか」との問いに、教員や親兄弟との回答している生徒もいる。この時代先生方を頼りにする高校生は少ない。きっと私のことだなと、担任はじめ教職員には自信を持って欲しいものだ。生徒が困ったときに助けを求めるのは、普段から熱意を持ち指導してくれる姿勢に信頼を寄せていればこそである。もし相談相手が親兄弟だとしたら、適度な距離感を持ち、いざとなれば私のために体を張って守ってくれるという安心感が、子どもたちにしっかり伝わっているのだろう。子を持つ親として見習わなければと思った。
年が明け、熱意があやまった指導となり体罰へと変わっていった事件の詳細が明らかになってきた。顧問と話すと頭が真っ白になり、うまく話しを伝えられないと家族に漏らしていたと新聞で知る。教師は授業で勝負するが、加えて学校生活全体を通して子どもたちを感化できる存在だ。目線は一緒でも立ち位置は異なる。友達師弟もおかしいが、極端な上下関係も違和感がある。自分には他人の子どもを育てていく責任があるという自覚を持ち、子どもの素晴らしい未来を創るんだという初心を忘るべからずと自らを戒める。いじめにせよ体罰にせよ、いずれも大きな事件となり生徒の命と引き替えに解決への道が開かれたことが痛ましい。
学校評価が、地域や保護者など学校関係者に配布される時期となった。教育目標や経営方針、分掌計画、個々の自己目標とリンクしているH24年度教育活動がどう評価されるかが気になる。
評価項目を担当教員が年度始に見直し、答える対象に回答しやすいように工夫してくれた。例えば教育目標では、生徒用には「天売高校は、地域に根ざした、魅力のある学校だと思いますか」。地域住民・保護者用では「本校の教育目標は「社会の変化や期待に応え得る、時代を担う有能な人材を育成する(地域に根ざした魅力ある学校づくり)」です。本校の教育目標は、みなさんが学校に期待する教育の方向性と一致していますか」。そして教職員用では「教育目標は、生徒の実態や保護者・地域の求める方向性と合致している」「教育目標を達成・具現化するため、学校全体および個々の教員が日々の教育活動に取り組んでいる」となっている。
年明け「天売高校、いつも皆さんにこにこしていて楽しそうです」とHPを見て感想をメールに書き添えてくれた知人がいた。これも教育目標を実現しようと教職員が鋭意奮闘している成果である。
ある自治体では、生徒が答える授業アンケートで職員評価や手当に反映されるシステムを実施しているとのドキュメント番組を見た。授業の評価項目は、分かるように教えてくれると面白いの2つだけだった。考査をやさしくしたほうが生徒の支持を得るのではと悩む教師。憎まれてなんぼですからといいきる生徒指導担当の教師など様々だ。数値は何を物語るかを分析解釈することで教師力を向上しようとする姿に圧倒される。一方都市部の私立学校では、派遣会社からの講師に頼る比率がアップしているとこと、また退職金の減額から早期退職続出という報道も聞こえてきた。いずれも一筋縄ではいかない。
最後に本校職員の実践を少しだけ紹介する。ひとつはSHR前の時間の使い方。1年生は英単語暗記。手製のカードを工夫し、生徒の英会話力向上に役立てたいと担任は目論む。3年生は漢字の書き取りや速算の鍛錬をしている。何気なく毎回の結果をグラフ化し、実力が着実に伸びているのが分かるように掲示しているのが素晴らしい。そして和歌の授業での百人一首、先生方も参加し熱が入る。何れも生徒のためにと媚びずに信念を持ってさせている。もちろん生徒は、楽しそうにやっている。