島めぐり風だよりvol.5 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

島めぐり風だより Vol.5 (2011.8.1)

『子どもは、地域の夢そして希望』

 定時制・通信制で学ぶ生徒たちが札幌に一堂に会して日頃の体験や考えを発表し合う北海道定時制通信制生徒「生活体験発表大会」は、今年で55回を迎える。6月に本校生徒がバドミントンで参加した定通体育連盟の大会同様、地区大会から全国大会につながる伝統ある文化の一大イベントだ。全道大会では、例年多くの困難に立ち向かいながら学んでいる全道11地区の代表が札幌に集まって、熱い思いや体験を語り、たくさんの感動を同じ環境で学ぶ仲間や道民に与えている。昭和59年には、天売高校の先輩が全道大会に参加し、第2位の成績を修めている。
 7月某日校内選考当日。多くの島民が集まって下さった。本校の教員しかいないと思っていた生徒たちにとって想定外の一般観客。今年卒業した生徒や数十年前に卒業された大先輩の方も来校していた。緊張した面持ちで発表が始まった。生徒たちの具体的な経験は、この学校を巣立った415名の同窓生たちなら共感することも多いはず。頷きながら聴き、ほほえましいエピソードには笑いも起きる。また今年度は、初めて天売中学校の先生も審査員の一員として参加していただいた。こんなことを考えていたのか、そんな思いをしていたのかなど、私にもたくさんの気づきがあった。東日本大震災のときに話題となった宮澤章二氏の『行為の意味』が頭に浮かぶ。「胸の中の思いは見えないけれど、思いやりはだれにでも見える」。生徒たちの思いが、思いやりとなり周りの人に対する積極的な行為になったときにまた感動が生まれるのだろう。
 開会にあたり、私は次のように生徒達に話した。「豊かな人生は決して失敗することなく手にすることはできません。不器用でも真剣に自分の高校生活に向き合い、悩みや失敗に立ち向かう皆さんの高い志とあふれる情熱の一端が伺える発表を期待します。将来、大きな花を咲かせるであろう皆さんの人生に、彩りを添える校内選考になることを心より願い挨拶とします」と。
 審査は予定時間をオーバーした。審査員の評価する項目には若干差が出たが、発表者の合計得点は僅差でほとんど差がつかなかった。講評では、来賓や職員、審査員の前で壇上から発表することで緊張したことをねぎらい、働きながら学び続け、仕事をとおして自分の将来や高校生活を考える姿勢に大いに共感を覚えたことを述べた。また自分の職業に対して持つ誇りと夢は、学びながら仕事をする困難に立ち向かうからこそ輝いていたことを審査員の気持ちとして伝えた。来校した方々も、二人の努力を讃えて下さった。いずれの発表も聞く人の胸を打つものであり、およそ2ヶ月後に開催される地区大会でも、定時制や通信制で学ぶ仲間に勇気をあたえるものになると思う。このあと文章の精査やプレゼンテーションに磨きをかけて、9月27日の滝川市で開催される地区予選に臨む。
 天売に来て子どもが地域の夢や希望であり、地域社会全体で慈しみ育てていくものだということをあらためて思い知らされることが多い。なぜなら島の大人たちが真剣に子どもと向き合い将来を心配し見守り、島の未来を託しているのが実感される場面に度々出会うからだ。
 若いかもめが飛ぶことを追求する物語に『かもめのジョナサン』がある。その中に、最も高く飛ぶかもめが最も遠くを見通せるのだという一文があった。生徒に高く飛ぶ力をつけさせたいものだ。

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オロロン日誌

7月の最終土日。天売ウニ祭り開催。この日ばかりは、1980年代年間5万人の観光客が訪れた当時を彷彿とさせます。観光協会をお手伝いし、ウニやホタテの販売をしました。フェリーが着くと、蜂の巣をつついたような騒ぎ。疲れたけれど、感謝の言葉をいただき楽しい2日間でした。

7月某日。ついに赤岩展望台より、海を漂うオロロン鳥3羽を双眼鏡で発見。正確には、北海道大学の鳥類研究室の学生さんが見せてくれました。今や幻の鳥といわれ留萠管内のシンボル的な海鳥、正式名称ウミガラス。丹念に探せば見つかるとは聞いていたが…非常に得した気分になりました。


アザミ.JPGアザミオオウバユリ.JPGオオウバユリキタノコギリソウ.JPGキタノコギリソウ


クルマユリ1.JPGクルマユリナナギラン.JPGヤナギランマイヅルソウ.JPGマイヅルソウ