2011年3月の日記 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

2011.3「本当に、私は幸せ者」

「走馬灯のように~」という言葉を文章表現として使用したことは、これまで何度かあったものと思う。先日、この言葉を文字としてではなく、身体で感じる出来事があった。3月1日、第54回卒業証書授与式が本校体育館で行われ、無事終了した。式の内容については特別なものがあるわけではないが、会場全体に卒業生を暖かく見送る雰囲気が覆っており、毎年、とても感動的な式となる。何と!今年はNHKの取材があり、卒業生の天売高校における生活を追って、予餞会から卒業式までの撮影が行われた。そこで、スタッフの皆さんに「本校の卒業式は厳粛な中にも暖かさがあり、涙、涙のとても感動的なもの。撮影でその雰囲気を壊さないで欲しい」と注文した。開式の辞があり、国歌、校歌の斉唱、学事報告が終わって、卒業証書授与。登壇し、卒業生4名一人一人に卒業証書を手渡すのだが、証書を読み上げている間、卒業生は私の目をじっと見つめ聞いている。一人20秒ほどではないかと思われるが、その間、走馬灯のように、思い出が脳裏によみがえってきた。すると、胸にこみ上げてくるものが。「やばい」、ぐっとこらえて、卒業証書授与を終えて降壇。席について、胸の高鳴りを押さえる間もなく、「式辞」のコール。再び登壇し、式辞を読み上げる。出だしは何とか順調に始められたが、卒業生一人一人への励ましの言葉に入ると、胸が詰まって声が出ない。ぐっとこらえて声を出すと一気に涙声になってしまった。まさか私が、こんな大事な場面で…。式辞を終え、降壇して席に着くと頭は真っ白。その後の賞状授与でも涙声に・・もう、メロメロ。式は進んで、クライマックスの生徒間の送辞・答辞に入る。ここで、在校生、卒業生の涙、涙で、会場からもらい泣き、すすり泣きが起こるのが今までであったのに…。何か、雰囲気を壊してしまったようで、本当に申し訳ない。反省してます。ところで、サプライズが好きな本校の生徒。また、やってくれました。まず第一弾は、卒業生答辞。答辞の内容については、担任の先生が事前にチェックしていた。しかし、本番では、担任が見た内容とは違うものとすり替えられ、卒業生から担任への感謝の言葉が盛り込まれていた。その部分にさしかかると、声を詰まらせる卒業生。「人前で泣いた記憶がない」と豪語する、一つあけて横に座っている担任の様子が気になる。もし、涙を流していたら…ようやく落ち着きつつある気持ちが、と思い、見ることが出来なかった。すると、なにやら、がさがさとポケットを探る音が聞こえる。後で聞くと、涙を拭くティッシュを探していたそうだ。Mu先生、お疲れ様でした。続いて第二弾。式次第、最後の修礼が終わったところで、司会の先生から「式は終了しましたが、もう少々時間をください」とのお願いがあり、司会が生徒に交代。「えっ?まさか?」「僕たちは今日、卒業しますが、もう一人卒業する人がいます」との説明があり、今年で定年退職を迎える私に、生徒からの卒業証書授与、というビッグサプライズ。登壇し、生徒の前に立つと、感情の高ぶりがマックス状態に。卒業証書と色紙を受け取り、生徒と握手をして降壇したが、感激で胸がいっぱいであると同時に、生徒の晴れの門出に水を差すようで申し訳ない気持ちが…。本当にありがとう。天高生、最高!かくして、平成22年度の卒業式は無事(?)終了した。取材が終わったNHKのスタッフが校長室に来て、「校長先生、幸せ者ですね」と嬉しい一言。「本当に私は、幸せ者です」
「校長の独り言」は今回で終了する。天売高校に着任し、島や高校にはこれまでの常識を覆す感動や驚きがたくさんあったため、情報発信をしてみようと思い、このコーナーを始めた。元来、文章書きは不得手であるため、「続けられるところまで」と思っていたが、いろいろな方達から「読んでいるよ」と言われ、本州に行っている娘からも、「楽しみにしているよ」とのメール。やめるにやめられなくなり、担当のMi先生からも執拗に催促され、何とか3年間続けられた。典型的な三日坊主の私であるが、少々自信を持っても良いかも知れない。そして、この事をこれから歩む「第二の人生」の指標にしていきたいと思っている。ご愛読ありがとうございました。

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