2010年10月の日記 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

2010.10「チャンスは二度ある」

 以前にも触れたが、本校では昭和35年度から地域の水産資源を生かし、水産加工を中心とした水産教育が行われている。昭和46年に完成した水産実習室には、以前使われたと思われるトド肉を煮る釜や魚肉をすり身にする石臼、そして、ソーセージにする機械などがあり、ここで様々な水産加工が行われてきたものと思う。現在は赤ガレイとタコの燻製、蒸しウニ、サケの缶詰、スモークサーモンを生徒・教員が全員で製造している。もちろん私も参加している。今までに経験したことのない水産加工。「楽しくて、楽しくて」と言いたいところであるが、とにかく私の不器用さは他の追随を許さない(?)。小学校の図工や中学校の技術家庭の時間は大嫌いであった。どうして、みんなと同じように物作りが出来ないのか…と悩んだ事も。基本的に私は左利きである。左で箸を持つと、それを見た人たちが、口を揃えて「左利きって、器用なんだよね」とか、左でハサミを持つと「ハサミは右利き用に出来ているから、左利きの人は、まっすぐ物を切れないんだよね」と言われると、逆に傷ついたものである。
先日、もっとも器用さが要求されるスモークサーモンの実習があった。紅鮭を「マキリ」と呼ばれる小型の包丁で3枚おろしにするのだが、これがなかなか難しい。まず、担当の先生が模範演技。最初に鱗を取り、魚の腹を手前に置いて、上の半身と背骨の間に「マキリ」を入れ、骨を感じながらゆっくりと刃を進める…なるほど、なるほど。しかし、頭で理解しても、手が思うように動かない。骨を感じながら…えっ、骨を感じない。恐る恐る切り口を開いてみると骨を切ってしまい、慌てて軌道修正。これが最も悪い処置で、結果、身がぼろぼろになってしまう。「どうして、こうなるんだ!」と思っているところに、「校長のマキリは切れないと思う」と暖かくフォローしてくれる先生。「私だって、ぼろぼろ」と立派にさばいている生徒。「みんな、なぐさめてもらい、ありがとう」と素直に言えないくらい落ち込む私。そこへ、「校長、これ商品ですから」ととどめの一撃を食らわす先生。当然、冗談なのだが…通用しない。「大丈夫です。煙であぶり、燻製になったら、ある程度身が整います」と担当の先生。ほっと一安心。4日後、燻製になった鮭の身から小骨をピンセットで抜く作業。どおれ、私も手伝いますか…。すると、「この身はガタガタだ。誰がさばいたんだ」の声。言わずと知れたこの私がさばいた鮭ですよっ。またまた、落ち込む私。「顔で笑って、心で泣いて、そっと触れたる、人の情」何を言ってんだか? まっ、気を取り直して、もう一度ある実習で有終の美を果たしましょう。頑張るぞ!

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