2010年5月の日記 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

2010.5「ようこそ、杉校生諸君!」

 今から1年半ほど前、校長室に見知らぬ若者が訪れた。季節は冬。まさか、観光客ではあるまい。話を聞くと、都立杉並工業高校の若き教師であった。要件は、「以前、見学旅行で沖縄の与那国島に行って素晴らしい体験をした。今度はぜひ天売で」とのこと。諸手を挙げて大歓迎…ではあるが、時期は5月。沖縄とは違い、まだ冬の寒さが残る日本海。果たして都会っ子が耐えられるかが心配である。しかし、若き教師はひるまない。生徒希望で北海道の農業や漁業を体験できる場所を探す中で見つけた天売島。全校あげての受け入れを約束して、東京へお帰りいただいた。その後、昨年の5月と今年の3月に先生達が来島し打合せを行い、いよいよ当日を迎えることとなった。5月11日、140名の生徒・先生を乗せたフェリーが天売駅に到着。恒例の横断幕でお迎えする。タラップから降りてくる数珠つなぎの人、人、人。島生活3年目で初めて見る光景に大興奮。今年の春の訪れは遅く、この日も身に染みる寒さであったが、集合した生徒は防寒着を身にまとっており一安心。指導が行き届いた学校であることを確信した。明日から本格的な交流が始まるが、私は残念なことに出張とぶつかり、断腸の思いで島を離れた。以下、交流の様子は教頭先生他、先生方の報告に委ねたい。

12日の午後、天高生6名と杉工生15名で交流会を行いました。最初は校舎内で両校の紹介。杉工生は立派なプレゼンで各科の紹介をしてくれ、天高生に手製のネームプレートと天売高校の名前の入った基板をプレゼントしてくれました。さすがは工業高校、物作りに長けていて味なことをしてくれました。その後水産実習室に移り、水産実習(カレイの燻製作り)を実施。初めて魚を触る生徒もいて、ウロコを取る作業から四苦八苦。天高生が杉工生にさばき方を教えている姿も見られ、生徒同士和気あいあいと作業をしていました。生徒たちは全部で約65kg分の赤ガレイを1匹ずつさばき、えら・内臓を取り除いた後、干すための糸を通します。杉工生も時間が経つにつれ次第に上手にさばけるようになり「簡単だ」との声も。赤ガレイは調味付けした後、燻乾と風乾を半日ごとにくり返し、一週間ほどで燻製が完成しました。お土産として東京に届いたはずです。

水産実習終了後は、バスケットでスポーツ交流を行いました。実習後はお互いとても打ち解け、先生も生徒も男子も女子も混じり合って参加し、楽しいレクになりました。その後、島民挙げての大バーベキュー大会。初めてみる海産物にはじめは怪訝な顔を見せるも、口に入れると「美味しい」と歓声が上がりました。その後の交流会では小中学校のよさこいや杉並工業の創作ダンスが披露され、最後には飛び入りで本校生徒も参加するなど、大いに盛り上がりました。小中学生のよさこいには杉工生からのアンコール。こんなに大勢からアンコールを受けたのは、小中生にとってきっと良い思い出となったでしょう。

13日の本校生との交流は、最初はフットパス散策班と魚釣り班に分かれて行動。散策班はひたすら島の遊歩道を歩く。この時期の天売は、いろいろな海鳥やその他の鳥が増え始める時期。その鳴き声を聞きながら、お姉さんが北海道にお嫁にきている杉工生さんの意外な話題を聞きながら、とてもウキウキ楽しいお散歩でした。釣り班は天売名物ガヤ(本州ではメバル)を何匹か釣り上げていました。早速本校生の家から焼き台を持ってきて試食。「なんまら、うまい!」今回の見学旅行、よくこの言葉を耳にしました。

最後の港での見送り、杉並工業高校から島民への感謝の言葉。普通はそこでさよならなのだろうが、杉並工業高校の田神校長先生の最後の締めのお言葉。「杉工生、最高!!」。校長先生の口から思わず出た言葉と気持ちが、よく理解できました。3日間の交流を通し、杉工生は本当に天売という島に心から馴染んで溶け込もうとしているんだなあと、それぞれの生徒さんに感じました。本当に素晴らしい杉並工業高校の生徒さん達でした。

両校にとって非常に良い体験となり、今後もこの見学旅行をきっかけに生徒同士のつながりが深まって、更に交流が促進されることを期待します。

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