2009年9月の日記 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

2009.9「挑戦!未知なる世界へ」

 あなたは「海派?それとも山派?」と尋ねられれば、躊躇なく「山派!」と答える。大学1年の時に、先輩に誘われるまま、「えぞ富士」と呼ばれる羊蹄山に初登頂し、頂上で見たご来光に大きく感動した。以後、山岳部に所属して大雪・日高を駆けめぐった。就職して、しばらく山から遠ざかったが、あるきっかけで家族で山に登り、今では年に一度のファミリー登山を15年間続けている。それに対して、「海は?」と言えば、私には無縁の世界。内陸育ちと言うこともあるが、元来、臆病で水に対する恐怖感もあり、泳ぎは苦手である。結婚後も、子どもが小さい頃、仕方なく海辺やプールに連れて行った程度。子どもが成長し、もう海に入ることはないだろうと思っていた。天売に来るまでは。
 天売では毎年、スキューバダイビングの講習が行われている。講習募集の話を聞き、帰宅して妻に話してみると、「ぜひ、受けたい」。その勢いに押され、「じゃあ、おれも受けるか」。いよいよ当日。昨日から波が高く、「もしかしたら中止になるかも知れない」との連絡があった。「中止になっても…いいかな」つい、弱音が出てしまう。しかし、朝方から天気が回復し、予定通りの実施。インストラクターから説明を受け、早速、ウエットスーツを身につけ、潜水場所へ移動。まずはタンクなしで、シュノーケルとマスクだけでの訓練。インストラクターが「さあ、ここまで泳いで来てください」、とは言うけど、私は足が付かない深さで泳いだことがない。ここは水深2メートル。無理、無理。「大丈夫。スーツを着ているから、黙っていても浮きます」とは言うけど…「え~い!いちかばちか。何とかなる」と飛び込む。確かに浮いている。足が底に付いていない。不安と恐怖の中で訓練終了。次の潜水場所へ船で移動。水深5メートルでタンクを付けての訓練となる。船から着水し、ロープ伝いに海底へ。初めて見る海の中。ウニが海底にゴロゴロ。順調、順調。しかし、訓練中に海水を飲み込み、パニックになり緊急浮上。船に上がると心臓バクバク、一気に疲れが出る。「来るんじゃなかった…」後悔の念がよぎる。そして、最後の潜水場所へ移動。水深11メートル…無理、無理。ほかの連中は順調に潜水をしている。そして、私の番。「どうしますか?無理しなくてもいいですよ」と言われ、「行きます」と、心とは裏腹の答え。ロープ伝いに、どんどん海底へ進む。一緒に泳ぐバディ(相棒)の手を握りしめ、恐る恐るの海中散歩。すると、余裕が出てきたのか周りの景色が目に入ってきた。口から吐き出される泡、ウニ、なまこ、小魚。気がつくと、妻が後ろで泳いでいる。インストラクターのカメラで一緒に記念撮影。還暦間近の新たなる挑戦。生易しいものではなかったが、不安、恐怖、そして、後悔の先には大きな感動があった。「案ずるよりも産むが易し」「人生は挑戦あるのみ」とは、少々、調子が良すぎるかな?

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