2009年3月の日記 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

2009.3「天高版ゆとり教育」

 1年の中で最も緊張する卒業式が無事終了した。今年の卒業生は2名。一人一人の目を見つめながらの式辞。他の学校では味わえないのではないか。(快感!)式のメインはもちろん、生徒の送辞と答辞。在校生からは卒業生への感謝、これからの決意が述べられ、これに応えて卒業生からは先生、生徒、そして、親への感謝の言葉。特に、父親への感謝に胸を打つものがあり、その間私は、目を閉じて話を聞く父親をじっと見つめていた。気がつくと、隣の席からも涙ぐみ鼻水をすする音。(確か、先月も同じような場面が…)式場で校長の隣の席と言えば・・。とても、感動的な卒業式であった。
 卒業生は昭和33年から数えること、今年で410名。都市部の学校であれば、あっという間の数であるが天売高校では半世紀の間、つなぎ、つないできた金字塔である。
 卒業式の前日、少しでも環境を整えて素晴らしい式が行えるよう、在校生による除雪ボランティアが行われた。各自、家から持ち寄ったスコップを片手に、校舎周辺の雪を撤去。2時間半を予定していた作業も、生徒のがんばりにより1時間程度で作業終了。普通であれば、ここで即解散。生徒は急いで家路に付くところであるが、天売高校は違う。担当の先生から作業終了が言い渡されたあとに、何かと雑談をしていたところ、「かまくらでも作るか」との声が上がり、全員賛成。冬季間ブルドーザーで寄せられた、校舎前の雪山を利用してのかまくら作り。安易に考えていた穴堀も雪山は圧雪状態になっていたため、悪戦苦闘すること1時間半。何とか数人は入れる広さに掘れたところで記念撮影。ハイ、ポーズ!
 言うまでもないが、学校、教室の中だけで行われるのが教育ではない。生徒は放課後に先生と遊ぶ中で、授業中とはひと味違う先生を発見する。そんな接触の中で心が開かれ、思春期の悩みを聞いてもらい、先生からアドバイスをもらう。私達教師は生徒にとって、一番身近で頼りになる大人でなければならない。これまで主張されてきた「ゆとり教育」が何の総括もなく、今や過去の産物になりつつある。「ゆとり教育」が求めていたものは何か、今一度思い起こしてもらいたい。答辞の一部を紹介する。「天売高校が大好きです。授業以外でも楽しい話をしてくれたり、親身になって話を聞いてくれる優しい先生方がいます…。」

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