2008年5月の日記 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

2008.5「『生き残り』をかけて」

 先日、妻と森を散策し、バードウォッチングを楽しんだ。天売島には300種近い山鳥が棲息すると言う。二人とも野鳥に関する知識は全くなく、野鳥のガイドブックを片手に3時間ほどの自然体験学習。途中、「アオジ」と言うつがいの小鳥が私達の道案内をするかのように前を飛び交っていた。まるで童話の世界にいるような・・・と言えば大袈裟に聞こえるかも知れないが、自分自身が自然の中にとけ込むような感じがし、とても心豊かなひとときであった。
 数日前、校長室で仕事をしていると、何かが窓にぶつかったような音がしたので、窓下を見てみると「ウソ」という小鳥がうずくまっていた。窓下には町の花に指定されている「つつじ」が植えられているが、よく見るとその枝にはたくさんの「ウソ」が留まっている。窓ガラスに気がつかなかった1羽がぶつかってしまったのか?とにかく、保護しなければと空き箱を用意して職員玄関を出ようとしたところ、大きなカラスが目の前を横切った。「まさか」と思い、小鳥がうずくまっていた所に行ってみると影も形も無かった。恐らく、カラスに連れ去られたのであろう。野鳥と言えばメルヘンチックなものを想起するが、野生の世界は弱肉強食。厳しい自然界の「生き残り」をかけた、食物連鎖を目の当たりにした一瞬であった。
 現在、中卒者数の減少に対応して、北海道の公立高校は再編・統合が急速に進められている。地方の小規模校は軒並み募集停止となり、長い歴史の幕を閉じていく。ピーク時には1学年20名近くいた天売高校も、今では全校生徒6名。「離島の高校」と言う特殊性はあるものの、今後の存続を考えると不安になってくる。何としても島の財産である天売高校を残さなければ。「生き残り」をかけて、その方策を島民と一緒になって考えなければならない。その際に、あの窓ガラスにぶつかった「ウソ」のように、目に見えない何かにぶつかって、何者かに連れ去られないように・・・・。

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