2008年7月の日記 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

2008.7「島の恵みを活かして」

 本校は夜間定時制普通科高校であるが、地域の資源を活かした水産実習を取り入れている。今年度はカレイとタコの燻製(5月)、ウニ缶(7月)、スモークサーモン(10月)にサケちっぷ(11月)づくりを体験する。生まれて初めてタコの燻製作りを経験した。まずはタコの頭部の皮むきから作業開始。薄いゴム手袋を手にはいて皮と身の間に両手を差し入れると、タコ独特のぬめりが泥遊びの懐かしい感触に似ており、実に愉快である。皮をはいだ身のぬめりを取り除いた後、マキリ(魚をさばくときに使う専用の包丁)で親指大くらいに細切りし、一昼夜調味料で漬けた後、燻製室でサクラチップの煙によるいぶしと、風に当てるのを半日ごとに繰り返し、一週間ほどで完成。その間、燻煙を焚くのは水産担当の先生であり、同行してつまみ食いをする味も、また格別であった。
7月にはいり、島の特産品「ウニ」の漁が始まると、ウニ缶製造の実習が開始される。夏休み前に3回の実習を行い、約700缶を製造する予定。ウニ漁を心待ちにしていたが、なかなか出漁の旗が揚がらない。ウニ漁は小舟に乗った漁師が覗き眼鏡を口にくわえ、足で櫂を操りながらウニを探すデリケートな漁であるため、海がべた凪で透き通った状態でなければ出漁しない。結局、初漁は9日にずれ込んでしまい、この日は出張と重なってしまった。羽幌へ向かう高速船が港を出るときに、ウニ漁を終え、意気揚々、誇らしげに帰港する漁師とすれ違った・・・う~ん、残念!2回目の実習も出張中に行われ、残るはあと1回。その後もウニ漁のある日と授業日が合わず、夏休みまであと4日に迫った22日、その日は朝方小雨が降る状態であったため、「今日もウニ漁なし」と決め込んでいた所、緊急連絡が入り無事、3回目のウニ缶製造を体験することが出来た。マキリでウニを割り、専用のスプーンで肉片を取り出し、缶に詰める。その後、昭和36年製のレトロな製缶機で密封し、レトルト機で45分蒸して完成する。これらの製品は9月の学校祭で島民に販売されるが、即完売とのことである。
ともかく生徒は手際よく、生き生きとして作業を行っている。普段から家で手伝っているのであろう。作業中、先生と生徒が一体となっての会話にも花が咲く。島の恵みは有形無形の恵みを島の子供達に与えている。

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