2008年8月の日記 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

2008.8「近くて遠きは…」

  天売島の北東約2キロ沖合に焼尻島が見える。大きさと地形が天売島とよく似ており、両島は双子島とも呼ばれている。先月、「焼尻めん羊まつり」があり、先生方と一緒に焼尻島へ行ってきた。高速船に乗ればわずか15分で到着。港に設置された、お祭り会場に直行し、焼尻めん羊肉と生ビールが織りなす至福のひとときを過ごした。この羊肉は島内の牧場で育ったサホーク羊で、特に、潮風の恵みを存分に受けた牧草を食べて育った「プレ(牧場)・サレ(塩味の)焼尻」と呼ばれる高級食材。主に、東京のフランス料理店に出荷されており、滅多に食べることのできない逸品である。柔らかく、癖が無く、炭火で塩味であっさり焼き上げた肉は、まさしく「トレビア~ン!」
 贅沢な昼食を終えてから全員で自転車に乗って島を一巡り。焼尻島は天売島とよく似ていると前述したが、いったん島内に足を踏み入れると、まったく異相の場所であることが良く分かる。焼尻島には、5万本のオンコ(イチイ)の木が自生している。普通のオンコの植生とは異なり、上に伸びず横に広がっており、強風と厳寒に300年も耐えてきた姿を見せている。自然の音しか聞こえない深い森を歩き、オンコの荘を抜けると、広大な草地を利用しためん羊牧場がひろがる。海を望む小高い丘で草を食んでいる羊に感謝しながら帰途につく。途中、30年ほど前に廃校となった焼尻高校の校舎を見学。現在は倉庫として使われているようであるが、写真など当時を偲ばせる品々も多く残されていた。数ヶ月前の出張の際に、フェリーで焼尻中学校の修学旅行生と一緒になった。5~6名は居たと思うが、生徒は焼尻に高校がないため全道各地の高校へ進学する。もし、天売と陸でつながっていれば、直近の天売高校も選択肢の一つにしてもらえるのだが、それも叶わぬ夢。「近くて遠きは焼尻島」である。天売と焼尻の違いは自然の景観だけではない。焼尻の高齢化率は天売よりも10%も高い。その原因の一つが高校の存在ではないかと考える。生徒数が少なくても高校がある限り、島に若者が残る可能性は高い。現に、焼尻では小学2年生から下の子供がいないと聞いている。天売高校は「島の財産」。何としても守らなければ。守ってもらわなければ。

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