どこかおもしろい中型の鳥 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

第6話 どこかおもしろい中型の鳥

 今回は小鳥と言うにはちいとばかり大きく、かといって大型というほどではない鳥達の話です。鳥それぞれ色々な特徴がありますが、天売の中型の鳥の特徴はきれいとかかわいいとかとは異なる、それ以上にどこかおもしろい感じの特徴を持っていると私は感じています。それほど煌びやかではないけれど、なかなか忘れられない特徴を持つ、そんな鳥達の映像を紹介します。
 11月初旬は全道高校水産クラブ研究発表大会が小樽で行われ、4年連続の入賞になりました。
 最近人の感性を磨く情操教育がより重要性を増していると痛感している。情報化社会の渦中、世の中にマニュアル本は溢れている。しかし、マニュアル本の増加に比例して、有為な人間が増えるのかというとそうとは言えないのではないか。MustやShouldで固まった理性だけでは、人はなかなか前には進めない。こうすればいい・ああすればいいことは皆ある程度分かっている。しかしどうしてもそれを知りたい・やりたいと思う動機が根本になければ、それは継続・成就しきれない。理性だけ感性だけの教育では教育の意味がないのである。
 普通高校として特徴のある天売高校の水産教育は地元産業や環境に根ざして、生徒も楽しんで取り組んでいます。実践・研究・発表活動を通して、様々な動機付けを啓発しているものと信じています。そして天売高校さながら、天売島もおもしろいこと尽くしなんです。

<映像1> こくまるガラス(黒丸鴉)〜オロロン鳥!?(120fps)

 毎年見られる鳥ではありません。2010年9月天売島に飛来。パークゴルフ場の芝の上で主に活動していました。最初見たとき「やった!ついにオロロン鳥発見!!」と思いましたね。オロロン鳥はその時まで見たことなかったので、白と黒の組み合わせは全てオロロン鳥だと思っていました。実際結構似てません?
 この鳥は中国・ロシア・朝鮮半島が本拠地だそうです。日本には越冬のため九州を中心にやって来るが、数は多くないらしいです。ハトほどの大きさで、くちばしは小さめ。淡色型と暗色型があり、ビデオは淡色型と思われます。北海道天売で見れたのは貴重だったかも知れません。カラスと一緒に行動し、カラスの警戒音と共に一緒に飛び立ったのが印象的。毎年来て欲しいです。


<映像2> セイタカシギ(背高鷸)〜専門家もカモメと錯覚する(240fps)

 アフリカ大陸中南部、ユーラシア大陸南部、インド、東南アジア、北アメリカ大陸南部、南アメリカにかけて広く分布する世界的な鳥だそうです。世界的に見られる鳥でも、天売が凄いのは人里近くでそれが見られるということなんです。車や徒歩で何十〜何百キロも探しに行かなくていいですから。日本でも、ほぼ全土の各地で希に見られるが、東京湾では毎年数十羽繁殖しているらしい。天売での目撃情報は5〜6月と狭い。
 まあよくこんなに足が長くなるもんだというくらい、赤い足が細くスラリと伸びてくちばしも長いです。足とくちばしを除けばカモメのような体色なので、足が波に隠れていたビデオの最初のほうを見て、鳥に詳しい人でもぱっと見、「カモメでしょ」と言ったほどです。ユニークな姿は見ていて飽きません。

<映像3> キジバト〜キジなんだかハトなんだか(120fps)

 4〜9月と割合長い期間、見ることができます。最初に見たのは森。車で森に入った途端すぐ逃げるので、姿をまずしっかり見ることはできませんでした。キジなんだかハトなんだか、なんとも謎めいた姿が印象的でしたが、後に民家の近くで頻繁に出没するのを見るようになり、その印象は大体当たっていたことがわかりました。森ではそれほど強い警戒心なのに、民家の近くでは何故かそれが大幅ダウンし、あえて追い払わなければ近くに人がいても全く逃げない時もあります。前浜の港の中の草地で、10匹ほどかたまっているのをよく見かけます。本土では森に近いところとで、声だけはよく聞いていたと思いますが、姿を見たのは天売ではじめてです。天売では最近数が増えてるんじゃないですかね?

<映像4> キアシシギ(黄足鴫)〜腰降りダンス・ダンス・ダンス(120fps)

 今年、9月に海岸で発見。2年目まで森ばかりに注目していましたが、今年は海で自分にとっての新種を増やしましたね。名付けた人は、黄色い脚の方が印象に残ったのでしょうけど、地味な色使いだからかな?私としては、ぴゅーいっ…と甲高く響く声が印象に残ります。なんといっても腰降りダンス。基本的に歩いている方が好きなようで、そおーっと近寄ればかなり接近するまで飛んでいきません。こちらを見ながら踊っているようで、芸をサービスしてくれているのかな!?威嚇しているのかもしれませんが、そうは見えないところがかわいいですね。

<映像5> アマツバメ〜大きさ形はブーメラン(120fps)

 ツバメと名が付くけどツバメ科とは遠縁で、アマツバメ科という別な科に属するそうです。飛び方は似てるので意外ですねえ。大きさも体長20cm、翼開長42cmとひとまわり大きく、形とともにブーメランみたいです。爪の構造が全て前向きで、岩場にぶら下がることはできても、木の枝に留まることはできないのだとか。5〜9月と比較的長い期間、草原地帯や西海岸の岩場で壮観に多数飛び交う様子を見ることができますが、オロロン鳥やウトウがいなくなる位の後半の時期に、特に活動が活発化するような感じがします。
 1匹1匹は動きがとても素早くて、カメラで姿を追うことはまずできないと思います。カメラを固定してたまたま入った姿をやっと撮ったのですが、ハイスピード映像で姿を確認できる分、スピード感がなくなるとこの鳥の価値が少し減っちゃうかも。逆に通常撮影だとあっという間に消えてしまいます。是非、天売で御自身のパノラマ感覚でビュンビュン飛ぶ姿を見に来て下さい。

<映像6> マガモ、コガモ〜家族のようで家族でない(120fps)

 港に現れた大きいカモが2匹と、その後ろに小さいカモが3匹。絶対2匹の親に子どもが3匹寄り添い、ついて行っていると思いましたが、図鑑で見るとカモのオスとメスって全然違うんですよね。他の鳥同様オスが派手目、メスが地味目の色をしています。結局5匹ともメスで、大きいのと小さいので種類が違うもの同士が、共同生活しているものと思われます。
 大きいのはマガモ、小さいのはコガモだそうです。種類は違ってもカモ同士お互い連携しあって生きているのです。基本的に淡水域にいることが多いようですが、天売では淡水が少ないので海水域も生活圏です。逆に淡水は貴重なので水が綺麗な時は、民家近くの狭い用水路でもひっそり休んでいる時があります。ためしに春か秋、消防署近くの用水路を橋から覗いて見て下さい。(冒頭写真)