今日もウトウは元気だあ! of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

第3話 今日もウトウは元気だあ!

 第1話でウトウについて紹介し、いまや天売で一番の人気者であるという話をしました。天売の観光シーズンは、ウトウが天売島にいる期間に一致するといっても過言ではないでしょう。赴任した4月からいるので、年中島にいる鳥かと思ったら、繁殖で子どもを育てて雛が成長を遂げれば、やがては巣立っていきます。その時期は夏休みに入って少ししてからなので、まあ7月いっぱいといったところでしょうか?年によってはもうちょっと遅いときもありますが。原稿を書いている今は8月1日、今年のウトウの数もかなり激減し、おそらく千羽程度でしょう。そろそろ全て巣立つ時期です。
 数十万羽というウトウが一斉にいなくなると、赤岩公園も非常に寂しくなります。毎日ウトウが帰ってくる場所だったわけですから。8月に入ってまだ、多少なりともウトウが天売島にいると、私はなんかホットします。卒業式や結婚式前日に生徒や娘を送り出す、担任、父親の心境のようなもんですかねえ。
 「Catch the nice shot ! 〜 天売に来る鳥たち」の第3話はウトウが天売島にいる後半の映像と、第1話とはまた違った視点の映像をお伝えします。

<映像1> トトロではなくドナルドダックだった!〜着地シーン(240fps)

 まず、第1話でも紹介したウトウの着地シーンですが、前回よりさらに倍スローでも撮ることができました(通所撮影=30fps、4倍スロー=120fps、8倍スロー=240fps)。その映像を見ると、ウトウは最後着地するとき足を前に投げ出して、お尻から地上に着地しようとしていることがわかりました。いたどりが生えているところだけかも知れませんが。前に足を投げ出して地べたに座っている、ドナルドダックのぬいぐるみを思い出しました。あんよを投げ出したウトウの姿も、結構かわいいです。天売は霞が掛かることがよくあります。晴れている時に比べ、そんな日はウトウの帰宅が多少早い時間になります。地面から1mくらい上からが霞で、それより下が霞がない場合があります。そんな時ウトウは飛んできて突如出現して舞い降りる天使のようで、また普段とは違った感動を味わうことができます。

<映像2>これがウトウの出発だ!(通常撮影)

 ウトウは天売にいる時期、毎日一斉に夕方陸に戻り雛にエサを与え、再び海に行きエサを採るを繰り返します。観光バスも夕方巣に帰還する様子を見学するために、運行時間が設定されます。天売3年目にして、ウトウはいつ海に出発しているのだろう?という素朴な疑問が湧きました。
 全く情報がないまま、とりあえず日の出の時間に合わせて赤岩公園に行ってみました。確か6月の中旬、朝の3時50分頃。遅かったですね〜。殆ど出た後でした。次にその1時間くらい前に行って、はじめてウトウの出発の様子を見ることができました。それは期待通り感動のシーンでした。私は今まで道路から上にある巣は、いたどりが早い時期から生えカモメに狙われにくいので、ウトウにとって1等地かと思っていました。しかし出発の様子を見た感想は逆で、そこは海から遠い位置にあるので不便な場所だと感じました。道路を横切るウトウは通勤ラッシュにあっているようで、煩わしい出勤をしている感じです。海に近いウトウは余裕で涼しげな表情でスムーズに飛び立つように見えます。
 そんなに早く起きて眠くないのかですって?2時50分頃行って帰ってくるのが4時前ですから、家に帰ってまだゆっくり寝る余裕があります。たまになら結構気持ちいい2度寝です。先ほどの映像が夢だったのか現実だったのか、不思議な眠りにつきました。

<映像3>ウトウの飛翔(120fps)

 ウトウの飛翔のハイスピード映像です。巣から出ても意外とすぐには飛び立ちません。まだすっきり目が覚めてないのか?それとも断崖絶壁の上だから、慎重に飛び立とうと一呼吸おいているのか?それとも一日に一度のことだから、もったいつけてるんですかね!

<映像4>のどかな餌取り風景1(120fps)

 赤岩付近の海岸で撮った映像です。なんかウトウは移動したり、潜ってエサを採ったり大勢で生活していますねえ。陸ではあまり集団生活している様子は感じませんが、海の上では結構な数でかたまったり、移動したりしています。

<映像5>のどかな餌取り風景2〜追われるコウナゴ映像GET !(120fps)

 と思っていたら、やっぱりウトウにだって孤独を好むものもいるんですねえ。ある日、フェリーが着く港に用事で行くと単独のウトウを発見しました。カモメに混じって一匹だけエサを採りまくっていました。カモメは一緒にエサ採っているのかと思ったら、何もしていません。海でもウトウのおこぼれを狙っているのでしょうか?ウトウが潜った後、海面にコウナゴが飛び跳ねている様子をゲットできました。ウトウに追われ、思わず飛び跳ねているんでしょうか?

<映像6>ウトウの赤ちゃん (通常撮影)

 ウトウがいなくなるちょっと前の時期は、ウトウの雛で賑わう時期です。7月上旬から中旬にかけてでしょうか?日中は危険なので外に出ることは殆どありませんが、夜、お父さんお母さんが帰ってきた直後から、巣から外の世界に出歩くようになります。幼いので全然物怖じせず、人間の方にどんどん近寄ってくるものもいます。この子もそうでした。色が真っ黒で、頭の様子はオロロン鳥とすごくよく似ていると思いました。ちょっとライトを明るくし過ぎちゃったみたいでご免なさい。車で帰るときは下に雛が隠れてないか、確認してからお帰り下さいね。

 ああ、もうウトウシーズンも終わりに近づいてます。そろそろ全体の巣立ちの時期です。この原稿がアップされている時には、もうウトウは天売から完全に姿を消していることでしょう、寂しい寂しい。でもいつか天売高校の卒業生と同じく成長してくれるといいですね!