かわいい小鳥たち1 of 北海道天売高等学校

北海道天売高等学校 定時制普通科

第2話 かわいい小鳥たち1

 天売島海鳥情報センターである「海の宇宙館」に行くと、小学校時代の生徒の写真が写っています。動物も人も小っちゃい時ってかわいいです。すると小鳥はずっとかわいいですね!
 天売ではオロロン鳥やウトウなど海に住む鳥が有名ですが、そのような鳥は海鳥と呼ばれ、基本的には海で生活し、繁殖などで仕方のない時だけ陸で生活します。天売の海鳥には他に絶滅危惧種のケイマフリなどが知られています。
 天売には海鳥だけでなく、陸に住む渡り鳥もやってきます。毎年4~7月くらいは、野鳥観察のため多くのファンが天売島に訪れます。天気がいい日に散歩しながらいろんな小鳥達やってくるのを見ると楽しいし、名前もわかるとさらに愛着が湧いてきますよ。
 私はもともと野鳥ファンではないのですが、天売にいて必然的に興味を持つようになりました。バードウォッチングというのは元来とても繊細な神経を必要とします。森の中をそおっと歩き続けなくてはならないし、常におしゃべり好きな人にはむいていません。車で鳥を見に行こうなんていう発想は論外でしょう。鳥を発見したら気づかれないように、望遠レンズを使って遠くから息を潜めて静かに観察します。
 バードウォッチングの心構えをなんとか身に付けたとしても、次に普通の人は道具をそろえるのが大変でアウトです。30メートル以上離れた木の上の小鳥を、画面一杯に写せるくらいの望遠レンズとカメラのセットを買うか、または持っている人と一緒に行動しなくてはなりません。そんなセットならたぶん100万円は下らないでしょう。私の4万円程度のハイスピード録画が可能なデジタルカメラは、倍率が20倍程ありますが、当然こんないいカメラには遠く及びません。きれいな映像を撮ろうと思ったら小鳥なら10メートル以内の距離にいなくてはならないでしょう。殆どの鳥は20メートルも離れているのに、近づこうと思って動き始めた途端に逃げてしまいます。また、仮に逃げ出さなかったとしても、次にカメラを向けると、鳥は何か鉄砲のような武器を向けられたと思うのか、本能的に逃げ出します。このように通常近い距離なら、ほぼ殆どの鳥に逃げられます。
 ところが…です。天売では環境が狭いせいか、何故かいきなり5メートルほど目の前に小鳥がいるのに、カメラを向けても逃げ出そうともしない、というような場面に出くわすチャンスが結構あるのです。しかも、散策している時のみならず、車で走っている時も同様です。車の中にいるとカメラを向けていることに気付かれにくく、むしろ歩いているより撮りやすい時があるくらいです。そう、天売では普通のデジカメ程度でも、誰でも鳥マニア並みのナイスショットをゲットできるチャンスがあるのです!私の撮った映像がなによりの証拠です。ただ、くれぐれも鳥には無用な刺激を与えないようにしましょうね。

<映像1>オオルリ~青い鳥の代名詞(240fps)

 幸せを呼ぶ青い鳥の代名詞。本州ではとても高い木の上にとまり、めったに人前に姿を現さないと聞いています。天売では5~6月、森の中や民家の近くでも見ることができます。ビデオは幼鳥の時期で、羽にまだ灰色の部分が残っています。成鳥では羽は殆ど青色と紺色になります。

<映像2>ベニマシコ~カップルの撮影1(120fps)

 カップルでとれたのは超ラッキーでしたね。赤いのが雄。緑色が雌です。2人でいるのが、余程楽しかったのか、散歩してたら4メートル程手前にいきなりそろって飛んできて、木に留まり十分な時間撮影させてくれました。お互いを意識し過ぎて周りを忘れていたんですね。ロマンスも手伝って、2匹ともとっても綺麗に見えました。4~6月、10~11月。

<映像3>ノゴマ(120fps)

 夏鳥として4月ころ渡来し、島内の草原ほぼ全域にわたって生息し、繁殖しているらしいです。最も遅い記録で10月7日です。普通の小鳥は撮影している間に飛んでいきますが、この鳥はとても綺麗に熱心に鳴き続けます。そのためかなかなか、飛んでいくシーンが撮れません。伴侶捜しに一生懸命なのでしょう。ノゴマ館とか、ノゴマ丘とか名のつく所があるくらい、天売は本土に比べてノゴマ密度が高いようです。

<映像4>ノゴマ幼鳥(240fps)

 なんの幼鳥かわからなかったのですが、天売で鳥の研究をしている大学院生(通称「鳥研」さん)に教えてもらい、ノゴマの雛であることが判明しました。草の中にひっそりと隠れて、スイスイ移動していました。やっぱりノゴマは草原の鳥でした。

<映像5>コムクドリ(120fps)

 6月中旬、ウトウが朝出発するのを取りに行った帰り道、比較的早い時間にゲット。3年目にして初めて見た鳥なので、さぞかし珍しいのだろうと海鳥研究所の人に聞いたら、やはり珍しい鳥だという。そうかラッキーだったんだと思っておりました。
 その後、今年来た新任の先生が公宅の壁に穴が開いているのに気がつき、中に鳥の巣ができているらしいということを話してくれた。その先生が穴のまわりをうろちょろしている鳥をカメラに撮って、鳥研さんに名前を聞いたところ、なんと私が撮った鳥と同じ名前。そんなに珍しい鳥が、民家の中に巣を作っているはずがない!!と疑ってみたが、よくその写真とこのビデオを見比べたところ、悔しいけど同じ鳥だわ!この先生は毎日「コムクドリ」が鳴く声で、朝目を覚ましていたという。贅沢だ~!!

<写真1>公宅の壁の穴

 きつつきなんかがもう数年前に開けた穴なんでしょうけど。
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<写真2>コムクドリ

公宅の周りの林の中で巣を見守っています。
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<写真3>雛たちだあ

 穴からちょこっと撮ってみたら、奥からひょっこり現れていたようです。
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